「これはどこまでが現実なの?」――見た人の感覚をゆさぶり、常識をくつがえすPerfumeのライブパフォーマンスがSXSWで披露された。このライブを担当したチームの一人、菅野薫さんにその演出の舞台裏を聞く。
誰も見たことがない
パフォーマンスを作る
生中継の実写映像とバーチャル映像がシームレスに入れ替わる。バーチャル空間のカメラが大胆なカメラワークで小さなライブハウスから飛び出したかと思えば、またいつの間にか実写映像に戻っている。ステージ上の3人の身体に、プロジェクション映像がオーバーラップし、リアルとバーチャルの境目がだんだん溶解していく――。
SXSWの全10日間の期間中、インタラクティブの最終日とミュージックの初日が一日だけ重なる3月17日に、Perfumeのライブパフォーマンスは行われた。場所はJAPANDAYの会場でもあるハイランドラウンジだ。この映像は、ライブの生中継映像としてYouTubeで配信されたものだ。
この日、SXSWに集まっていたのは世界中の音楽関係者や、テクノロジービジネスの最先端にいる技術者、投資家、メディアアーティストたちだ。テクノロジーを駆使したライブ演出で知られるPerfumeにとってまさにふさわしいオーディエンス。ライブパフォーマンスには、音楽とテクノロジーの両方の視点で参加者の期待に応え、かつ世界中に新しいファンを増やすようなアプローチが求められた。
その実現のため、演出振付家のMIKIKOさん、ライゾマティクス真鍋大度さん、電通菅野薫さんをはじめとするチームPerfumeは2つのコンセプトを決めた。1つは今までに見たことのない …