赤瀬川原平のパロディーとユーモア
これまでデザインに関して、たくさんの人やものから影響を受けてきました。その中でもデザインに対する態度で最も影響を受け、今もたびたび思い出すものがあります。それは、前衛芸術家の赤瀬川原平が1970年代に週刊誌『朝日ジャーナル』(朝日新聞社)で連載していた『櫻画報』です。
デザインの見方
このポスターを見たのは、2006年。当時、僕は仙台でフリーランスのデザイナーとして仕事をしていました。しかし、学生時代にデザインを学んだわけではなく、独学。きちんとデザインの仕事ができるようになりたいと思い、東京で就職することにしました。29歳のときです。
面接を受けに行った日、山手線に乗っていたら、パッと目に飛び込んでくるものがありました。気になって渋谷駅で降り、近くまで見に行ったんです。それはNTTドコモのDCMXのブランディング広告のポスター。そのサービスが使える企業をアイコン化し、DCMXのロゴと組み合わせたデザインのポスターで、駅構内に何十枚と連貼りされていて衝撃を受けました。
そして、それは偶然にも、その日面接に行くグッドデザインカンパニー(以下 gdc)の仕事だったんです。これから、この会社に行くんだと、一気に緊張感が高まったのを憶えています。
このポスターには、グラフィックの基本のようなものがつまっている気がします。情報を最大限に整理し、企業の特徴をアイコン化していること。それによって …