IDEA AND CREATIVITY
クリエイティブの専門メディア

           

ARTS卒業制作レポート

地元の課題を解決するアートディレクション

3月7日、第15 期アートディレクター養成講座(ARTS)の最終回(卒業制作講評)が行われた。卒業制作の課題は「自分の出身地(都道府県/市町村)が抱えている課題をあなたのアートディレクションで解決してください」。受講生はドラフト宮田識さん、good design company水野学さん、キギ植原亮輔さんの3クラスに分かれ、それぞれの地元を取材し、課題を見つけ、それを解決する作品を制作した。ここではその中から、優秀作に選ばれた作品を紹介する。

(左から)▲ドラフト宮田識さん ▲good design company水野学さん ▲キギ植原亮輔さん

 

宮田クラス 金賞

末永 剛
(サイバーエージェント)


●企画意図
私の地元、佐倉市は城下町として栄えていたのですが、今は城がありません。街のシンボル「佐倉城」を蘇らせることで活気を取り戻したいと考え「光の城」という企画を考えました。実際の城を建てるのではなく、レーザー光線やドローンを駆使し光をつないで城を再現するプロジェクトです。築城400年記念を機に復活を夢みる佐倉城。過去と未来、人と人がつながるきっかけになればと思います。

●ARTSを受けて
「おもしろい事を考えて みんなを楽しくさせたいな 打ち明け話にうなずいて みんなと仲良くなりたいな」—ARTSを受けて、THE BLUE HEARTSの『ながれもの』という歌を思い出していました。僕は大学卒業後、ながらく音楽やアートの活動をしていて、そこでたくさんの素敵な人達と出会いました。それが今、アートディレクターとして仕事する僕にとって、かけがえのない宝物なのだと、改めて気づかされました。ARTSの仲間、講師の方々に出会えて本当によかったです。


 

植原クラス 金賞

小川 元
(SPIN INC./studio TED)


●企画意図
金沢に新幹線が開通します。しかし金沢は雨が多い街です。観光客が増えると同時に雨でがっかりする人も増えるのではと思い、金沢の雨の風景を彩る貸傘を企画しました。貸傘は返却率の問題があるため、保証金100円を入れると1回だけ開閉する傘をデザインし、コンビニ・郵便局などの返却場所で返金することで機能させます。傘が放置されれば次に返却した人へ、それまで入った保証金がまとめて返金されます。この傘が機能し「金沢行くなら雨の日」という状況が生まれることを期待しました。

●ARTSを受けて
著名な講師の方々から毎回新たな視点を学ぶことができ、刺激のある半年間でした。課題の講評では同じテーマに対するさまざまな答えを見ることができ、ひとりで悩んでいては得ることのできない経験ができました。毎日の業務の中で講義や課題をこなすことは容易ではありませんでしたが、苦労が報われたことで自信につながりました。ARTSを機に関わることができた皆さま、ありがとうございました。


 

水野クラス 金賞

加藤圭織
(マック)


●企画意図
茨城県は小児科医師の数が全国ワースト1位。水戸市でさえ夜間の小児救急医療体制は無医村と呼ばれ、地域医療崩壊の危機に直面しています。医師と患者双方の負担を少しでも軽減するためには、県民一人ひとりが深刻な医師不足と向き合い動き出すことが大切だと考え、そのきっかけをつくるプロジェクト「AID IBARAKI」を提案。現状を知ってもらうためのポスターや、初期症状の判断力と応急手当の知識を身につけられる小児救急キットなどを制作しました。

●ARTSを受けて
幅広い講師陣の講義や課題演習、卒業制作という刺激的な日々を経て …

あと67%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
ブレーンTopへ戻る