IDEA AND CREATIVITY
クリエイティブの専門メディア

           

デザイン起点のクリエイティブディレクション

広告を制作する中で アートディレクターが存在する価値

長島 慎

入社1年目からデザインだけにこだわるのではなく、クリエイティブディレクターの視点をもって仕事をしてきたという長島慎さん。「アートディレクターとはニュートラルになんでもできる存在」と考えている。

長島 慎(ながしま・しん)
クリエイティブディレクター/アートディレクター 1975年生まれ。1999年博報堂入社。主な仕事として、SONY、読売新聞、UCC「Black 無糖」、CCJC「ファンタ」、「爽健美茶」、KIRIN「麦のごちそう」など。他にもflumpoolのプロモーションなどCDジャケットやPV制作にも数多く携わる。

理屈よりも絵で見せるCM

02 ソニー「α 6000」

昨年、クリエイティブディレクターとして制作したソニーのα6000のCMは、アートディレクターの感覚を生かして企画したものです。CMは、「どんなに動いてもブレない」というカメラの特性を伝えることが目的。最初の打ち合わせで話にあがったのが「アルプスの少女ハイジ」のブランコのシーンでした。そのイメージから広げて、世界で一番ブレそうな被写体を美しい映像で描くという企画になり、崖の上からのウェディングバンジーを撮影することになりました。この企画が固まったとき、自分の中に映像の質感のイメージがあったので、まずロケーションや、DP(ディレクター・オブ・フォトグラフィー)は誰がいいかを考えました。通常の仕事は戦略やコピーが先で、最後にデザインという順番で進むことがほとんどですが、この仕事では商品特性を伝えるのと同時に、感覚的に気持ちがいい絵をつくることを優先的に考えていきました。

こういうやり方で進めていると、周りの人からは「考える道筋が自由だね」と言われることもあるし、非常に感覚的につくっているように思われますが、僕はマーケッターがつくる調査やグラフを読むのも大好きです。戦略会議に最初から参加させていただくことも多く、それを踏まえた上で …

あと64%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

デザイン起点のクリエイティブディレクション の記事一覧

経営と表裏一体にあるもの
デザインの限界を超え、働く人の意識を引き上げるブランディング
世の中にあるすべてのものは「伝える」ための手段
「解決するクリエイティブ」から 「作り出すクリエイティブ」へ
9人のアートディレクターが選ぶ時代、社会、 人々に効いた デザイン
広告を制作する中で アートディレクターが存在する価値(この記事です)
自分たちが本当に面白いと思えるモノづくりをする
常に問うているのは、その解決方法に必然性はあるかどうか。
広告にエモーショナルなメッセージを込める
日本にデザインという思想をもたらす仕事

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
ブレーンTopへ戻る