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今夜も窓に灯りがついている。

あたたかく待っていて

文 三角みづ紀

あたたかく待っていて

いかにも嵐といった風が遠くからごうごう吹き、今日をどう過ごそうか天気をうかがおうと、空を見上げるも、ただ灰色がひろがるばかりで、強風以外は変哲もなかった。滞在しているアパートの共有のゴミ箱は人がはいれるほど巨大なのに、風にあおられたのか部屋の前に転がっている。中を確認すると段ボールが束になって放りこまれていた。

黄色のくちばしを持つ黒い鳥が中庭の自転車にとまり、目があった瞬間に飛び去ってしまう。わたしは昨夜の出来事を思い出していた。

昨日はずいぶんと調子のよい一日だった。行こうと考えていた場所にちゃんとたどりつくし、道すがら、ずっと探していた郵便局やドラッグストアを見つけたから。この一ヶ月のスロヴェニアとドイツの旅では予定しないことに遭遇してばかり。それはそれで楽しんでいたのだけれど、やっぱりこういうふうにスムーズだと気分がいい。

帰路、なんて満足な日だろうとトラムの中で考えていたら …

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