IDEA AND CREATIVITY
クリエイティブの専門メディア

青山デザイン会議

枠にとらわれない 新しい「仕事」

伊藤洋志/草彅洋平/白久レイエス樹

ここ数年、広告やコミュニケーションの仕事に軸足を置きながら、自らの領域を広げて活動するクリエイターが増えてきました。クリエイティブやコミュニケーション分野で培ったスキルやノウハウを活用して、スタートアップ企業や新しくメディアを興す人、NPO法人を立ち上げる人…クリエイターの働き方は多種多様に変化しています。こうした背景の一つには、デジタルテクノロジーによって働き方やライフスタイルが劇的に変わり、業種によっては都心に住居を構えなくとも働けるネットワーク環境が整っていることが挙げられます。

また、そういう時代だからこそ実現できる、新しい仕事、新しいクリエイティブも生まれていることも大きな要因です。少子高齢化の日本において、従来までの単純作業の仕事は、将来的に人の手からロボットやコンピュータに置き換わると言われています。そうであれば、創造的な価値をつくるクリエイターの仕事が今後ますます重要になるでしょう。2015年、初めの青山デザイン会議は、新時代のクリエイターの「働き方」についてナリワイの伊藤洋志さん、東京ピストルの草彅洋平さん、スケルトニクスの白久レイエス樹さんが話し合います。

自分の中にブレのない働き方

白久 沖縄高専ではロボコンに青春を捧げ、昨年3月に大学院を卒業しました。学生の頃に友人たちと起業して、動作拡大型スーツ「スケルトニクス」の販売と特注制作・レンタルを行っています。エンターテインメント分野や映画業界などで利用されています。将来的には、エグゾネクス構想(人型から車型に変形して自走できるスーツの開発)を実現したい。今はそのための資本を稼ぐために、スケルトニクスを事業化しています。

草彅 白久さんが大学院生の頃、ニコ動に投稿されたスケルトニクスの動画を見て取材したことがありましたね。僕は編集者です。といっても本をつくるだけの編集でなく、広義においての編集を軸に駒場東大前にある「BUNDAN」というカフェやグラノーラ専門店「GANORI」などのプロデュースと経営をしています。その他、コンサルティングやイベントの企画など多種多様な事業を展開しています。一見気が散っているように見えるかもしれませんが、決して自分の中でブレてはいないんです。あくまで、編集者としてやりたいことをやっているだけ。それが紙媒体だけでなく店舗や映画など、アウトプットするものが最適化されているだけなんです。

伊藤 僕は、「ナリワイ」という屋号で個人ではじめられる事業をつくる活動をしています。仕事をもらう立場じゃなく、つくる立場。いわゆるビジネスじゃなくて、個人レベルではじめられて、自分の時間を切り売りする請負仕事でもなく、逆に仕事を通して頭と体が鍛えられ、技が蓄積されて、仲間が増える仕事のことをナリワイと呼んでいます。具体的にはシェアオフィスの運営など生活の延長を仕事にするナリワイ活動を行っています。かくいう僕も大学卒業後は小さなベンチャー企業に就職しました。朝から晩まで働いて寝るためだけに帰宅する。土日は半分寝てて、暇がないからお金が貯まるかと思いきや、ストレスでアイス食べないと眠れないようになってしまったりして、全然貯まらない。事業を立ち上げる経験を積めたのは有意義で感謝もしていますが、仕事で得たお金はストレス解消と寝るだけの家の家賃でほとんど消えてしまいました。マッチポンプ状態です。最終的には、事業の立ち上がった時期に肌荒れがひどくなって退職しました。その後はライター業をやって、一年に一つのナリワイをつくるペースで増やして、5つ6つの仕事を連動させる働き方をして今に至ります。働き方は自分でカスタマイズできるし、できれば働くことそれ自体が生活の充実に直結しているべきだと思っています。ワークライフバランスじゃなくて、ワークとライフが一体化できるだろうと。だから自分の生活と関わりない仕事はしません。

やりたいと思ったら「看板」を掲げる

白久 いま仕事や働き方についての悩みや課題はありますか?

草彅 アイデアをマネされることですね。経営する「GANORI」は普通のグラノーラでは絶対に入っていない乾燥ごぼうを入れて食感や風味を出していたりするんですが …

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