IDEA AND CREATIVITY
クリエイティブの専門メディア

           

注目のイベント

未来のクリエイターがCM制作にチャレンジ

あべのキューズモール 学生CMコンテスト

大阪阿倍野にある大型のショッピングセンターあべのキューズモールが地域貢献を目的として、2011年の開業以来、続けている、地域一体となってエリアの活性化を目指す施策「あべのスマイルプロジェクト」。第27回目となる今回は、「未来のクリエイターの君たちへ」と題してCMコンテストを実施した。

審査後、作品について話をする黒田秀樹さんと中島信也さん。

求められるのは、インパクトのあるアイデア

本コンテストにチャレンジしたのは、日本写真映像専門学校の学生たち。「地域に根ざしたさまざまな活動をしているあべのキューズモール」をテーマに、CMを制作した。選ばれた8作品が公開され、11月末に同モールに来館する人、同施設運営会社、審査員を務めるクリエイターそれぞれの視点で審査するコンテスト形式のイベントが開催された。最終日には作品審査のほか、日本を代表するCMディレクターである黒田秀樹さんと中島信也さんを招きトークショーが行われた。

CMディレクターの中でも映像派として知られる2人には、多くの共通点がある。ともに大阪出身。高校時代は同じ会場で演奏するバンド仲間でもあった。「高校時代はお互い音楽でプロを目指していて、映像とは無縁。しかし、若い頃に夢中になったことは、自分の将来に大きな貯金となった」と黒田さん。2人の作品は、インパクトのある映像に加え、効果的に使われる音楽が特徴的だ。

「美術館よりコンサートで涙を流す人が多いのは、それだけ音楽の力が凄いということなんです。コンサート中に花火があがると観客が驚く。そんな多くの人に驚きを与えるような作品を目指している」と中島さん。CMが流れる15~30秒で絶対に損をさせないという強い思いは、“関西の血”が騒ぐからだともいう。「若い人のテレビ離れが進む中でも、面白いものはYouTubeで見られています。そういう時代だからこそ、面白くないものは忘却の彼方へと葬り去られてしまう」と中島さんは話す。

学生たちが手がけた作品について、二人は次のような講評を述べた。「どの作品もあべのキューズモールのことを考えて丁寧に作られているが、ストレートなアプローチが多い。本来自らを褒めるのが広告。それゆえに褒めるだけのアプローチでは自己アピールが強すぎてしまい、CMが無数に流れるテレビでは埋もれてしまいます」。そして、それをどう解決するべきか、アドバイスも送った。「対象となる商品から一度離れたり、驚きのある事件を起こしたり、人とは違うアプローチを探れば、さらによくなるのではないか。今は携帯で誰でも映像を簡単に撮れるので、見た人にインパクトを与えるアイデアが大事です」。

イベントを総評して、あべのキューズモール神津秀人総支配人は「学生に有名クリエイターとの接点を設けられたことは有意義でした。ショッピングセンターが地域コミュニティのプラットホームになるという使命を胸に、今後もさまざまな取組みを続けていきたい」と話している。

01 総支配人賞受賞『30秒では語れない』
日本写真映像専門学校 映像クリエイション学科1年 島田貴絵(大阪市立工芸高等学校卒)

02 一般投票賞受賞『阿倍野ミクス』
日本写真映像専門学校 映像クリエイション学科2年 映画・テレビ製作コース 村上集作(和歌山県立田辺高等学校卒)

03 審査員賞受賞『アベノの9日』
日本写真映像専門学校 映像クリエイション学科1年 樋口鈴乃(大阪市立工芸高等学校卒)

無料で読める『本日の記事』をメールでお届けいたします。
必要なメルマガをチェックするだけの簡単登録です。

お得なセットプランへの申込みはこちら

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
ブレーンTopへ戻る