阿部和重、伊坂幸太郎
『キャプテン
サンダーボルト』
(文藝春秋)
阿部和重、伊坂幸太郎という2人の人気作家による小説『キャプテンサンダーボルト』。「内容は発売まで明かさずアルファベットのタイトルロゴのみを先に露出させたい」という編集者からの依頼で、装丁を手がけた関口聖司さんは、まずアルファベット・ロゴをいくつか制作した。「70年代アメリカ映画的なニュアンスを少し意識し、エッジが立ちすぎず抑制が効いていて、待っている読者の期待感を高められそうな形を探しました」。
作家をはじめ、関係スタッフで装丁について話し合う中で、雄大な自然の中にあるパイプラインの撮影で知られる石塚元太良さんの写真を使うことが決まった。石塚さんとの打ち合わせを経て、小説の舞台である蔵王の火山湖を撮影してもらい、何点もの候補写真からカバーの写真が決まった。
「ロゴをデザインしてからメインビジュアルを選ぶという通常とは少し違う経緯でした。でも、この本のデザインは著者たちとのブレストを重ねていく中で生まれたもの。小説の力に導かれて大切なことがひとつひとつ正しく決まっていったような印象があります」。
鈴木博文「後がない。」
(メトロトロン・レコード)
「後がない。」と大きく書かれたジャケットは、ムーンライダーズのベーシスト 鈴木博文さんの6年ぶりのアルバム。味のある描き文字は、アートディレクター 大久保裕文さんによるものだ。鈴木さんからのリクエストは ...