公開直後から、世界中で話題になったOK Goの新曲「I Won’t Let You Down」のMV。CGは一切使わず、ダンサーたちが踊り、メンバーがHondaのUNI-CUBを走らせ、ドローンが空を飛ぶ…さまざまな話題に溢れたこのMVは公開10時間で100万回、わずか6日間で1,000万回突破と、OK Go史上最速の拡散となった。
01、02 「I Won’t Let You Down」のMVより。最後のシーンでは、音楽が終わった後も700mの高度からドローンの撮影を続けた。原野さんは「Beatlesのアルバムで最後の曲が終わった後にちょっとした遊びがあるものがあり、それをヒントにした」という。
リクエストは「ワンカットで」
事の始まりは、今年春。「秋にアルバムを出すから、MVをつくってほしい」というメールが、OK Goのリーダー ダミアンさんから原野守弘さんのもとに届いた。「数年前、カンヌに参加したときに、偶然ダミアンと知り合い、ずっと親交を深めてきたんです」。
レコード会社ではなく、メンバーから直接の依頼。当初は曲も予算も決まってはいなかった。「どうせなら誰も見たことがないMVを」と考えた原野さんは、まずコラボレーションできる企業を探し始めた。「どんな企業でもいいということではなく、OK Goとコラボしたときに意味があることが重要。その条件を満たすと思えたのが、本田技研工業でした。OK Goのものづくりに対する姿勢とHondaのスピリットには相通じるものがあります」。Hondaの担当者と原野さんが仕事を通じて旧知の仲だったことも奏功し、Hondaは協力を快諾。「広告ではなくMVなので、表現に対する意見は受け付けません。ただし、確実にバイラルさせますと約束しました」。
そして、原野さんが選んだのが、HondaのUNI-CUB(ユニカブ)。ヒューマノイドロボット研究から生まれたバランス制御技術を活かした新しいパーソナルモビリティーである。原野さんからダミアンさんにUNI-CUBの映像を送ったところ、すぐに返信されてきたのが、ヨーロッパの白バイ隊が隊列を組んでマスゲームを展開する映像。「こんな感じどうかな?ワンカットで」というリクエストだった。
MVを制作する曲は、「森の木琴」を一緒に制作したドリル コンテンツプランナーの西田淳さんと共に選曲。「第一印象もよかったし、後半どんどん盛り上がっていく構成が映像化に向いていると思ったことが決め手」となり、MVは「I Won’tLet You Down」で制作することになった。
映像の要はドローン
とはいえ、CGは一切使わないワンカット映像−−。近年の映像制作ではかなりトライアルと言えるものだろう。その要となったのが ...