本質を一本の線に託す
>京都市立芸術大学の2回生の頃、初めてクロッキーで裸婦のモデルを描く機会がありました。「デッサンは何回も線を重ねたり消したりしながらじっくり描くもので、クロッキーは好きな画材で素早く線を決めて短時間で描くもの」。当時の私はそんなふうに解釈し、鉛筆でクロッキーをしてみましたが、思った通りに描けませんでした。
メキシコオリンピック('63)のロゴデザインでも知られる米国の巨匠ランス・ワイマン。氏が手がけたミネソタとワシントン国立動物公園のピクトグラムやサイネージがとても素晴らしい。ピクトグラムとは文字を使わないコミュニケーションのための図案。記号として個性を消すものが多いなか個性的で親しみが持てます。ミネソタ動物園のロゴマークは、同園を代表する人気のヘラジカが水草や種実を食べている姿をミネソタの“M〞で表したのでしょう※。簡略化した中にも絵心があり、30年以上経たいま見てもとても新鮮です。特にここで挙げるワシントン動物園のポスターは、ZOOのロゴタイプの“O〞がのびて動物のピクトグラムのフレームとなり、横顔のフォルムだけで多種多様な動物の特徴を端的に表しています。
※参照 http://graphicambient.com/2012/05/21/minesota-zoo/
左上から二番目の鶴と三番目のフラミンゴを見てください。特徴の掴みにくい鳥類もくちばしの形状や首の角度で表しており ...