「がんばる母さんやめました」自分らしさを探る「卒母」の考え方
『卒母のためにやってみた50のこと』(大和書房)という本に出会い、ページを繰り出したら止まらない。手書きの文字とイラストで構成されているたたずまいもユニーク――著者でありグラフィックデザイナーの田中千絵さんに話を聞いた。
デザインプロジェクトの現在
今回の連載では、フランスの老舗ラグジュアリーブランドが、パリで行ったトピックスを紹介する。250周年を迎えるバカラの大回顧展と、建築家のフランク・ゲーリーが手がけたルイ・ヴィトン財団美術館のオープンが、大きな話題を集めた。
大半の日本人は、バカラと言えば、フランスのブランドであり、グラスをはじめ、オブジェや照明など、幅広いクリスタル製品を扱っていると知っている。世界の中でも日本は、売上げトップで、シェア28%を占めているという。職人の高度な手仕事による数々の製品、深紅を基調にしたシックな造りのブティック、歴史を背景に、暮らしの中におけるモダニティを表現した広告など、バカラというブランドは、日本でも確固たる地位を築いている。以前、発祥の地であるフランスのバカラ村を訪れたことがあるが、驚いたのは、650人いる職人のうち、22人がフランス版の人間国宝と言えるM.O.F.(Meilleurs Ouvries de France)の受章者ということ。これだけ多くのM.O.Fが働いている企業は、フランスの中でも例を見ないという。長い歴史を通じ、高度な技術を継承しながら、精緻な手仕事を続けてきた軌跡が、バカラというブランドの信頼感へとつながっている。
その250 周年を記念した大回顧展「Baccarat, Legend of Crystal」が、パリ市のプティ・パレ美術館で、10月15日から来年1月4日まで開催されている。プティ・パレ美術館は、1900年のパリ万国博覧会のために建設されたもの。荘厳な佇まいに、当時の建築ならではの優美さをまとっている。そこに、500点に及ぶバカラの逸品———19世紀はじめに作られた博覧会向けのものから、各国の王侯貴族がオーダーした品々、シャンデリアやドレッサーや椅子といった家具まで———が展示されている。特徴的なのは、円弧を描く金属メッシュのコーナーの中に、様式や制作背景によって分類された品々が配されていること。石造りの内装とモダンなメッシュのコントラストが、歴史とモダニティを併せ持つバカラというブランドのアイデンティティを彷彿とさせる。コーナーからコーナーへ巡っていくと ...