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WORLD WATCH

ベルリンのシンボル、テンペルホーフ飛行場跡のアート素材屋

シンプル組合

01 シンプル組合が撮影ディレクションとグラフィックデザインを手がけている、ベルリンのレディースアパレルブランド「REALITY STUDIO」のSummer 2015 Lookbookより。写真にある建設現場の養生シート、角材、石膏の固まり、壁に立てかけられたステンレス板(古い新聞の版)、自転車のチューブ。中央に立つ塗り壁のような巨大な黒い物体は、火山岩のように削られたテクスチャの巨大な黒いフォーム。これらは全てKunstStoffeで揃えた品々である。
http://www.realitystudio.de/
Summer 2015 Lookbook by REALITY STUDIO(Photo:Rita Lino,Art Direction & Design:The Simple Society,Helping Hands:Taru Happonen, Shota Nakamura Stylist:Kamilla Richter)

アートの素を売る店

「ルフト・ブリュッケ(空の橋)広場」という駅を下りると、威圧感のある茶けた石壁のビルが目の前に広がる。この「テンペルホーフ飛行場ターミナルビル」は、1941年ヒトラーの命令によって大規模に改修が計画されたが、完成を待たずしてヒトラーは失脚。未完成部分が増築され現在に至る。1948年にはソ連のベルリン封鎖に対抗した西側陣営の大空輸「ルフト・ブリュッケ」の舞台になった、ベルリンのシンボルとも言える場所だ。滑走路を含めた広大な空き地は、市民がスポーツなどをする場として親しまれている。近年、この土地を利用した大規模な建設工事計画があったが、市民の猛烈な反対運動により中止されている。

ターミナルビルの谷間をくぐり抜けるた閑散とした通路には倉庫が並び、そのうち1つのドアの前に特徴のあるリヤカーが停まっている。このリヤカーがなければ見つけられなかったかもしれない店、それが「Kunst Stoffe(クンスト・シュトッフェ=アートの素)」である。開店日は週1日のみ。扱う素材の幅は広く、建設現場の資材や紙、同じ瓶100個、布、ペンキ、ガラス、板、壁紙、パイプ、色とりどりの洗剤のキャップのみが1000個ほどまとめられた箱、梱包材、旧東ドイツの旗までが、混沌とした印象とは裏腹に、きれいに整頓され、ひしめいている。Kunst stoffeは、アーティストやクリエイターの多いベルリンならではのコンセプトの店で、インスタレーションや立体作品の素材として、作家がDIYショップで探すような素材を集めたリサイクルショップである。価格はかなりお値ごろで、業者でなくてはなかなか手に入りにくいような工業資材なども入手できるのがありがたい。店舗運営の他に、集めた素材を用いたさまざまなワークショップやイベントも企画運営している。

飛行場は大規模イベント会場として利用されることも多く、シンプル組合が撮影資材の調達に訪れた際は、ちょうどFASHION WEEK BERLIN 2014「BREAD AND BUTTER」の会場設営真っ最中で、関係者らしきいくつかのグループがディスプレイ資材か撮影資材を物色しにきており、店内というか倉庫内には不思議な活気があった。

02 雑然とものが並ぶKunst Stoffeの店内。Photo:Kunst Stoffe
Kunst Stoffe http://www.kunst-stoffe-berlin.de/

シンプル組合

2010年に発足したデザインユニット。ベルリンと東京を中心に活動。
http://www.thesimplesociety.com/

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