あの人はどう考えているの?その時もっとも気になる質問に対して、複数のクリエイターに回答していただくコーナーです。
Q.仕事や人生で影響を受けた言葉は何ですか?
田中偉一郎(たなか・いいちろう)
アートディレクター/CMプランナー/現代美術作家

A.グレープフルーツ
「グレープフルーツ」って、なぜこの名前がついたか知ってますか?あの大きな実がたくさんブドウのように房状になるから、だそうです。へぇ~、おもしろいね、納得。…って、ちがうでしょ!フルーツでくくったらダメでしょ。ブドウもフルーツなんだから。和訳したら「ブドウ果実」で、もはやそれは「ブドウ」でしょ。キウイフルーツとか別ジャンルから持ってくるならいいけど。そんな言葉の慣習への疑問のきっかけ「グレープフルーツ」。という訳で、僕が影響を受けている言葉は、先輩や偉人の言葉ではなく、果物の名前です。
三浦祟宏(みうら・たかひろ)
TBWA\HAKUHODO インテグレーテッド コミュニケーション プランナー

A.お前は、やれんのか?
格闘技イベント『PRIDE 男祭り』のスローガンです。今日オリエンなのに明日プレゼン。不健康だってわかってるのに健康診断。カタコトで立ち向かう英語テレカン…。仕事をしていると、逃げたくなることって多々ありますよね。そんなとき、ボソッと自分に問いかけます。『お前は、やれんのか?』憧れた格闘家たちの雄姿が脳裏に浮かび、反射的に気持ちがファインティングポーズをとってしまう。そんな便利で危険なことばです。後輩に呟いても効果的です。
平野紗季子(ひらの・さきこ)
博報堂 新人コピーライター

A.雪舟えまさんの短歌
社会人(殺伐OL)になってから、短歌作家・雪舟えまさんの短歌が響く…。「淡々と きらいなことを拒んで来た わたしの道は 濡れて輝く」うお~…大事なことってなんだっけ。スキなことを信じる勇気。なのか。キライなことを飲み込む図太さ。なのか。まあそんなこと思い煩ったってしょうがないんだけど。雪舟さんこうも言ってました。「憂いなく 楽しく生きよ 娘達熊銀行に 鮭をあずけて」熊銀行に鮭預けても、預けたのに、食べられちゃいそうだもんな、鮭。
武田さとみ(たけだ・さとみ)
電通 コピーライター

A.万人に好かれる者はいない。なぜなら皆に好かれるものを嫌う者がいるからだ
とにかく人に嫌われるのが怖くて怖くて、あらゆる人の顔色を伺って生きていたころ出会ったことばです。100点満点のテストが存在しないと知った瞬間「なあんだ、じゃあいっか。」と肩のチカラが抜けたのを覚えています。今では、叱られてもヘラヘラ笑えるくらいにまでは成長しました。成長ではないかもしれませんが。
呉 美保(お・みぽ)
ディレクター

A.あせらずなまけずていねいに。
中学1年生の時の担任、宮田茂一先生の口癖です。シゲカズと読むけれど生徒からは愛着を込めてモイチと呼ばれていた先生は舌足らずで、ことあるごとに生徒に向けて「あしぇらじゅなまけじゅていねいに」と叫んでいました。みんなこぞって物真似をしたものです。当時はその意味も考えず笑いのタネにしていただけですが、社会人になったいま、様々なトラブルが起きる中で、「あせらずなまけずていねいに」と心の中で呟いている自分がいます。
市東 基(しとう・もとい)
アートディレクター/グラフィックデザイナー

A.手で考えるとき、ぼくの頭はからっぽ
「これからどうしようかな」独立を来年に控えた頃、誰もが通る漠然としたお題がありました。そんな時に立寄ったジェフ・マクフェトリッジの展覧会「手で考えるとき、ぼくの頭はからっぽ」にあの丸眼鏡のご本人がいました。あまりの嬉しさに人並みをかき分け自慢の中学英語で会話をしたり、夢のような時間を過ごしました。「考え過ぎず夢中になれ」とこのタイトルを通してジェフ先生に背中を押されたような気分になった事を覚えています。