佐賀県の有田焼は2016年に創業400年を迎える。県による多彩な事業の一つとして、2013年11月に“2016/project”がスタートした。クリエイティブディレクターの柳原照弘さんの主導により、16の窯元と商社、世界各国の16のデザイナーが参加する。この活動を通して、商品開発のみならず、有田の街の活性化も見据えている。
バブル崩壊後勢いを失いつつあった有田焼
1616年に誕生した有田焼には、つくられた時代や磁器の種類、技術により、初期伊万里や柿右衛門、金襴手などの様式がある。1650年にはオランダ東インド会社が初めて有田焼を購入し、世界への輸出を行った。成形や絵付などの卓越した技術は、欧州各国の王侯貴族を魅了し、オーダーメイドの製品が制作されていたという歴史がある。18世紀に入ると、中国との価格競争が起こり、次第に国内向け量産品の生産へとシフトしていく。
バブル期には料亭や旅館からの受注が相次いだが、バブル崩壊後は売上げが減少、ピーク時の6分の1にまで落ち込んだ。そんな中、地元の商社である百田陶園からの依頼によって、新しい商品開発に着手したのがデザイナー 柳原照弘さんだ。「東京のパレスホテルへの出店を前提に、伝統を引き継ぎながらもこれまでとは異なるアプローチで未来や多様な食生活に寄り添う新しい有田焼のブランドを考えました」。それが“1616/arita japan”だ。
ミラノサローネでの
“1616/Arita Japan”の成功が後押し
2012年のミラノサローネで“1616/Arita Japan”を発表したところ ...