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少女が大人の女性へと開花する瞬間を描く―パルコの広告

M/M(Paris)

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01 M/M (Paris)の二人。ミカエル アムザラグ(左)とマティアス オグスティニアック(右)。

少女が大人の女性へと開花する瞬間を描く

パルコ M/M(Paris)インタビュー

Dior HommeのインスタレーションやLOEWEの新ロゴなど、さまざまなプロジェクトを手がける仏のデザインチームM/M(Paris)がこのほど来日した。パルコの2014-15年シーズン広告のクリエイティブディレクターを務め、秋冬シーズンのビジュアルコミュニケーションを店舗やテレビCMで公開している。オランダの海岸線で撮影した同広告は、「Lily, from Solstice to Solstice」と題し、トップモデルのクリスティン・マクメナミーの娘リリー・マクメナミーとフェイスオブジェ、ゴールデンヘッドを被写体にファッションの永続性を表現。4種のシリーズポスターで一年間という時間の継続を表している。

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02 「Lily, from Solstice to Solstice」 グラフィック

―パルコ広告のアイデアについて教えてください。

マティアス 美しいビジュアルをただ撮る、つくるのではなく、その背景にあるストーリーをいつも考えます。パルコはファッションに特化した商業施設です。そこをどのように見せ、ファッションをどのように切り取るか。まず1年の時間の流れ、四季をイメージしました。人は季節に合わせて洋服を着替えます。生命のサイクルともいえるその行為はファッションの永続性を表すと同時に美しい行動といえます。また、着飾るという行為は美しくなりたいという願望の表れ。多くの女性には理想となるモデルがそれぞれいて、そこに近づくために自分を変えています。理想のアイコンとして気鋭のモデル、リリー・マクメナミーを起用しました。一年が巡る間に四季とファッションの素晴らしさをビジュアルで表現し、一人の少女が大人の女性へと開花していく様子を追っていきます。

ミカエル 「四季の移り変わりを追う」というごくシンプルなアイデアを視覚的に表わすため、オランダの写真家ヴィヴィアン・サッセンに依頼しました。雄大な自然が見せるオランダの海岸線で、現代的な美女リリーがいて、彼女の純真な美の象徴であるフェイスオブジェ、完全な美の象徴であるゴールデンヘッドが同じシチュエーションの中に共存します。彼女の輝く個性を金色で表現したゴールデンヘッドはただ置くのではなく、貝殻のように砂浜に横たわっています。CMでは画面の右上で回転し、緊急ニュースのような速報性を表現しています。

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03 「Lily, from Solstice to Solstice」CM

―M/M(Paris)といえば、タイポグラフィが特徴的ですが、今回もユニークですね。

ミカエル タイトルの“Lily, from Solstice to Solstice”をオリジナルのタイポグラフィで描きました。僕らにとって、タイポグラフィはとても重要な位置を占めています。イメージをつくりあげるための基本です。既存のタイポグラフィを使うアートディレクターやデザイナーもいますが、ビジュアルを表現する上でも、クライアントや消費者に説明する上でも、大切な記号だと思っています。一つの言葉を、タイポグラフィに置き換える時は、企画の背景にあるものを内包しています。たとえば、同じ言葉でも北海道と沖縄では言葉のアクセントや意味は違いますよね。声の微妙なアクセントやニュアンス、声のトーンや意味の違いがありますよね。その違いが伝わるように、一つひとつタイポグラフィをデザインしています。デザインというよりもドローイングに近いです。過去の仕事と共通のモチーフであれば再利用することもありますが、ほとんどがオリジナルで一から制作しています。今回も日本の伝統様式を自分たちなりに解釈してつくりました。

マティアス それと、グラフィックをつくるときに、平面にならないように心がけています。優れたタイポグラフィは広がりがあり、立体的で、彫刻のようにも見えます。世界観を構築してからつくる場合もあるし、タイポグラフィから世界をつくりあげることもあります。今回は前者です。

―お二人の仕事の役割分担は?

マティアス 一人でプロジェクトを進めるのではなく、二人でイメージをキャッチボールしながら進めています。お互い役割を明確に分けず、仕事によって役割が変わっていきます。言葉を交わさずとも長年の付き合いによる阿吽の呼吸でわかるのです。

―クリエイティブディレクションでいつも心がけていることは?

マティアス やはり一番心がけていることは「正しい人」と一緒に組むことです。クリエイティビティの源泉はさまざまな人と会い、コミュニケーションを重ね、刺激を受けることで優れたアイデアやインスピレーションが生まれてくるものです。今回の仕事では、写真家ヴィヴィアン・サッセンと出会えたことがとても大きいです。優れた人であれば誰でもいいわけではありません。企画にマッチする最適な人とチームをつくることが大事だと思います。

―パルコ広告の今後の展開について教えてください。

ミカエル 2014年秋冬は、女性が海岸線に降り立って、自分の美をつくりあげていく“ビーナスの誕生”を表しました。来年の春夏シーズンでは、そこからさらに時間が経って、女性が成長・成熟して、自分がつくった美しさを解体して、新しいものに変える、美をつくりあげていく様子を描いています。一年を通じて季節の変化、時間の変化、人の成長を感じ取ってほしい。

2015年春夏のビジュアルは来年1月中旬に全国のパルコ館内外で公開される。

  • 企画制作: PARCO+Yukari Ohyama、Akira Takamiya(RCKT/Rocket Company)
  • CD : Mathias Aygustyniak、Michael Amzalang (M/M Paris)
  • 撮影: Viviane Sassen
  • 企画: Yukari Ohyama、Akira Takamiya(RCKT/Rocket Company)
  • 演出(映像): Rogier van der Zwaag
  • ST : Maarten Spruyt
  • H : Daan Kneppers
  • M: Kathinka Gernant
  • 美術: Frank Visser
  • 出演: Lily McMenamy

エム/エム(パリス)

ミカエル アムザラグとマティアス オグスティニアックによって92年に結成された、パリを拠点に活動するクリエイティブユニット。20年以上にわたりファッション、アート、音楽、デザインと多分野において活躍し、象徴的かつ影響力の強いデザイン&アートで世界中の人々を魅了させている。主な仕事にCalvin Klein、Dior Homme、Loewe、Louis Vuittonなどのファッション分野のほか、ビョーク、ヴァネッサ・パラディ、カニエ・ウェスト、マドンナなどの音楽関係のアートディレクションを数多く手がける。

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01 「ATLAS」©Nerhol

消失し続ける一瞬の姿に焦点を当てる

ATLAS

写真や本などを素材にして、ユニークな視点と手法で作品を生み出す、田中義久と飯田竜太の二人からなるアーティストユニットNerhol(ネルホル)。現在、IMA CONCEPT STORE内IMA galleryで「ATLAS」を、EYE OF GYLEで「Sceanary,Scean ―風景と景色―」を開催している。

「ATLAS」は、“消失し続ける彼ら”の一瞬に焦点を当てている作品。Nerholが「Misunderstanding Focus, 2012」「Portrait,2012」「Misunderstanding Focus 16:9,2013」「Scene to know,2013」という展覧会で発表した作品を再構成し、一つのコンセプトへと集約。それを書物の体裁にまとめたものである。本展では、その中から新作40点の作品を展示する。

Nerhol「ATLAS」

開催中、11月30日まで。

IMA gallery(IMA CONCEPT STORE内)

11時~22時

不定休

◆問い合わせ→03-5572-7144 IMA CONCEPT STORE

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01,02  PARADISE 2014

「死」から「再生へ」荒木経惟の最新作

荒木経惟 往生写集-東ノ空・PARADISE

荒木経惟の展覧会「荒木経惟 往生写集-東ノ空・PARADISE」(※正式表記は「P」が反転)が、資生堂ギャラリーで開催中だ。

同展は、豊田市美術館、新潟市美術館、そして資生堂ギャラリーの3館合同で開催する企画展で、それぞれに異なるサブタイトルと出品作で構成されている。2009年の前立腺癌の発症と摘出手術、その後の愛猫チロの死や東日本大震災の経験などが、荒木に自らの「死=往生」を意識させ、それを機にこの合同企画展が実現した。写真集、そして展覧会タイトルでもある「往生写集」は、平安時代の僧侶・源信が著した仏教書『往生要集』(985年)から想を得た荒木の造語である。

最終開催地の資生堂ギャラリーでは、「死=往生」から「再生」に向かっていく、荒木の現在の心境を捉えた作品を中心に展示。「東ノ空」は東日本大震災後、亡くなった方への鎮魂を願うと同時に、被災地の復活を祈りながら、彼が毎朝自宅の屋上から撮り続けている最新作だ。そして「PARADISE」は、一見暗闇の中に色鮮やかな花が咲き誇っているかのように見えるが、実は、朽ちかけた花と人形。「花は死の一歩手前が最も官能的」と語る荒木が、移ろいゆく花の姿を人の生命にたとえ、はかなさゆえの愛しさや、かけがえのなさを捉えた作品だ。本展のためにこの夏撮り下ろした「銀座」も見ることができる。

往生の準備を始めた荒木が、人生を振り返りながら続けた写真の旅。本展を経て、荒木の新たな「再生」への旅が始まる。

荒木経惟 往生写集-東ノ空 PARADISE

開催中、12月25日まで。

資生堂ギャラリー

平日:11時~19時、日曜・祝日:11時~18時

月曜休廊

入場料無料

◆問い合わせ→03-3572-3901 資生堂ギャラリー

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01 展覧会作品(2012年)

40年の膨大な仕事を振り返る

安西水丸展

イラストレーション、漫画、エッセイ、小説、絵本、翻訳など多岐にわたり活躍していた安西水丸さんの展覧会が、クリエイションギャラリーG8で開催中だ。

本展は、今年3月19日に71歳で急逝する直前まで、机に向かい仕事をしていた安西さんの、これまでの仕事を振り返る。イラストレーター 安西水丸の基ともいえる『青の時代』、雑誌の表紙や挿絵、村上春樹さんとの数々の共著、絵本や漫画、エッセイ、展覧会の作品など、40年間の膨大な仕事の中から、原画を中心に約300点を紹介。また、年少期や大学時代の貴重な作品もあわせて展示する。

安西さんがイラストレーションを描くときに大切にしていたのは「がんばろうと思わないこと」。がんばらないと描けないのならまだ勉強不足だと語っていたという。素の自分でイラストレーションと向き合うことを心がけ、描き続けた作品の数々を、この機会にしっかりと目に焼き付けておきたい。

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02 『大衆食堂へ行こう』原画(2006年)

安西水丸展

開催中、11月20日まで。クリエイションギャラリーG8

11時~19時

日曜・祝日休館

◆問い合わせ→03-6835-2260 クリエイションギャラリーG8

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01 鹿児島睦の図案

5組のクリエイターが広げる図案の世界

鹿児島睦の図案展

動物や植物を独自の世界観で描いた陶器やプロダクトで人気のアーティスト、鹿児島睦さん。福岡市内のアトリエで陶器、ファブリック、版画などを中心に制作している。そんな鹿児島さんの独自の世界観で描かれた“図案”をひもとく「鹿児島睦の図案展」が、青山・ドワネルで始まる。

昨年秋に開かれた初の図案展では、動物や植物のモチーフを描いたが、2度目の開催となる本年は、暮らしを豊かにし、楽しむための“図案”を紹介。「魚」をテーマにしたハンドメイドの陶器作品が展示されるほか、鹿児島さんの魅力をよく知る、5組のクリエイターがプロダクトの制作、空間演出を行っている。

アートディレクター前田景さんとは宙に舞うモビールや、食卓を彩るペーパーナプキンやポスターを制作。そして、福岡県筑後地方の伝統工芸である久留米絣の織元「下川織物」とコラボレーション。完成した“織り”は、「布と手芸のモノ キナリ」店主 小園由華さんによって、トートバッグなどのファブリックアイテムとして展開される。また、会場内の壁面3面に、「図案」を直感的に楽しんでもらうための展示を実施。その空間デザインを担当するのは、設計事務所imaの小林恭さんとマナさんだ。展示されているハンドメイド陶器は、11月15日から販売を開始する。

鹿児島睦の図案展

11月1日~18日

doinel(ドワネル)12時~20時

水曜定休

◆問い合わせ→03-3470-5007 doinel

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