「その一瞬を守り抜く。」というメッセージの下、ブリヂストンはグローバル広告「THE MOMENT」キャンペーンを8月に開始した。そこで表現したかったのは、「タイヤが乗せているのは、クルマではなく、人々の暮らしであり、人生である。」ということだ。
アクションが変わることがブランディング
25ヵ国、180ヵ所以上に生産拠点を持ち、150ヵ国以上で事業を展開しているブリヂストンは、ミシュランを抜き、世界最大手のタイヤメーカーである。これまで海外への輸出や直需営業などでシェアを伸ばしてきたが、ブランディングにはあまり注力してこなかった。そこで、消費者と企業間のコミュニケーションを強化するべく、昨年10月、グローバルブランド戦略本部を設立した。共にブランドを築いていくパートナーとしてHAKUHODO THE DAYに白羽の矢を立てた。
軽自動車からレーシングカーまであらゆる車種にタイヤが付いているのに、タイヤについて語られるのは、スピードの追求や性能向上に関心のある一部のクルマ愛好家だけ。そういう共通認識があった。クルマは万人のものであって、主婦や女性がタイヤについて話をしてもいいはずである。
「まずはそこを変えなければいけない」とHAKUHODO THE DAYのクリエイティブディレクター佐藤夏生さんは考えた。以下は佐藤さんが初期段階で提案したコンセプトの一部である。「初めてのデートにクルマで行く昼下がり。試合帰りのクルマの中、子どもと久しぶりにじっくり話す夕方。大切な人とのひとときが安心して過ごせる時間、きっと誰にも気づかれないけれど、今日も誰かの人生を乗せてブリヂストンは走っている。出産を控えた妊婦さんを乗せたタクシーで、誰かの命を救う救急車で、世界中で一日一日、安全を支える人を支えるタイヤがある。何気ない大切な一日が、何事もなく続いていく。きっとタイヤがそんな時間を支えている。タイヤを考えることは暮らしを考えること」。
普段クルマに乗っていてもあまり気づくことはないが、タイヤが支えているのは、クルマではなく、人々の暮らしであり、人生である。佐藤さんと同社グローバルCMOの石橋秀一さんは、これをブランディングのコアとして、マーケティングを改革していくことを決めた。
全世界10ヵ国で放映しているグローバルCMは…