ブレーンのカバーを飾るのは、世界の先端を行くクリエイターたちの作品。「BRAIN’S BRAIN」では、「HAPPY CREATION」をテーマに彼らが制作したビジュアルとオフィスや仕事を紹介していきます。11月号の表紙を制作してくれたのは、ニュージーランドのタイポグラファー Catherine Griffiths さんです。
――表紙のアイデアについて教えてください。
これは自画像です。だから、「C」の文字を使いたかったのです。共感覚者にとって、「C」はいつも赤色。表現力があり、力強く、それに表紙のテーマである“Happy”も意味します。私の好きな黄色は、幸福、臆病、嫉妬を感じさせます。しかし、「C」は黄色ではありません。気乗りはしませんでしたが、黄色のバージョンも作りました。重ね塗りをするうちに、赤色が現れました。形があいまいなのは、日本人の芸術家やデザイナーへのタイポグラフィックな敬意です。赤色のバージョンは、80年代に見たニック・ナイトが撮影した山本耀司の象徴的なカラーシルエットを思い出させます。
どうやってつくったか。たくさんの書体が入っているライブラリーをかきまわしていると、小文字の「C」を試してみたくなりました。特に規則は設けずに「C」の文字をいくつか作り、その中から気に入った10個の文字を選び出し、それを重ねました。文字の大きさを変えたり、いじったりせずに、自然に形が定まるのを待ちました。脳に似た形になったのには驚きました。それから、本誌が10月発売であることに気づき、アイデアがさらに膨らみました。
当初は、テーマである「HAPPY CREATION」や日本について考えていました。日本は個人的に大きな影響を受けた国です。さまざまなジャンルで学ぶところがたくさんあります。ですので、そんな個人的なことでブレーンからのリクエストに応えたかった。
Catherine Griffiths
Q1. What is the idea for this cover?
A self-portrait. The letter ‘c’, I covet.Being a synesthete, ‘c’ is always red.Expressive,strong, radiant, and for the theme of this issue, happy. Yellow is a colour I love,that exudes happiness (and, I was reading today, cowardice and jealousy!),but ‘c’ is not yellow! Against my mind,I made a yellow version, and in the layering up, red appeared. The amorphous form is a typographic nod to Japanese artists and designers. In the red version, I am reminded of Yohji Yamamoto’s iconic colour silhouettes (by Nick Knight) which I first saw in the mid ’80s.and how did you make it?Rummaging through my library of typefaces, I tested the letter ‘c’ in lower-case. Picked out 10favourites (no rules applied) then layered them up. No manipulation, or shift in point size, I let the shape become itself. The brain-like form was a surprise. Then I saw we are issue #10*, so the idea just grew!
Q2. What made you come up with the idea?
Thinking about the theme ‘Happy Creation’,and about Japan ─ a country that has had aprofound influence on me personally, yetcontinues to enrich me across the disciplines(the photo book and photography, film,architecture, music, objects I use, clothes Iwear, and of course graphic design)─ I wanted to reply with something personal.
02 オフィス
03 タイプとサウンドのインスタレーション「AEIOU」。the vowel seriesの最初の作品(ニュージーランド)photo: Paul McCredie
04 Proyecto de Arte Contemporáneo Alzheimer, Valparaíso / Chileのプロジェクト「memento」
05 Bruce Connewのフォトブック「Body of Work」のタイプフェイスとタイポグラフィー。
06 「A Hillside Intervention」(one of the letter-crumbs from the wayfinding system at Athfield Architects)
07 an onsite /online exhibition at Window, University of Auckland( ニュージーランド)のためのポスター
08 ワークショップシリーズ「typ gr ph c」フライヤー(ニュージーランド)photo: Amy Yalland
09 Parlourのためのロゴ(オーストラリア)
10 アーティスト、フォトグラファーBruce Connew 「I Must Behave」 Vapour Momenta Books(ニュージーランド)
スタジオ キャサリーン グリフィスデザイナー、タイポグラファー。1984年から86年までビジュアルコミュニケーションデザインを勉強し、その後、海外で仕事や旅行をし、95年に自分のスタジオを開設。ビジュアルコミュニケーションデザイン、自費出版のアーティストの本、公共や私的な場所でのタイポグラフィーのインスタレーションなど。デザインに関する著書もある。2002年、ウエリントン・ライターズ・ウォークに飾られた15の文字彫刻でニュージーランドにおける最高のグラフィックデザイン賞を受賞。09年、国際タイポグラフィーシンポジウム「TypeSHED11」を共催。昨年末、14年のヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展においてニュージーランドを紹介するための審査会で最終審査に残った小グループに参加。現在、オークランド市の仕事として、反射鏡を使い背面が真鍮でできた「O」の形をしたタイポグラフィックオブジェクトとポケットサイズの公園をデザインしている。http://www.catherinegriffiths.co.nz/ |