今号では、36人のコピーライター、プランナーの皆さんに自身の「コピーの作法」をご執筆いただきました。36人のコピーライター、プランナーの頭の中にある「コピーの作法」をどうぞ覗いてみてください。
Another Angleを発見する。
東畑幸多
いいコピーに出会った瞬間、人はある言葉が必ず心に浮かびます。
それは、「その手があったか!」という一言。
「なぜ、こんなことに気がつかなかったんだ!」という想いが強いほど、
優れたコピーだと思うのです。
ちょっとした視点の違いで、人をハッとさせ、グッとこさせる、
Another Angleを発見することが、
コピーライターの最も重要な仕事だと思っています。
このAnother Angleを発見する2大巨頭が、
ウォルト・ディズニー&スティーブ・ジョブス。
2人に共通するのは、アニメーターやエンジニアではなく、
実際に手は動かさないのに、概念で画期的なものを創り上げたこと。
有名な言葉がいっぱいありますが、スタッフをキャストと呼ぶ。
従業員を裏方ではなく、出演者だと規定してホスピタリティを変える。
「僕たちはエンジニアではなく、アーティストなんだ」と開発チームの目線を変え、
製品ではなく作品をつくる。
視点を変えることで、人の行動や、見えてくる世界が変わる、
これこそコピーの原点だと思うのです。
先日読んだみうらじゅんの本に、「念仏」を唱える意味は、
「そこがいいんじゃない!」と声に出すことだと書いてありました。
「人生は諸行無常。そこがいいんじゃない!」
「人はいつか死ぬ。そこがいいんじゃない!」
疫病・貧困・戦争で、生きづらかった時代に「念仏」は、それでも現実を受け止め、
前を向かなきゃいけない庶民のために生まれた、ソリューションなのです。
「わびさび」も戦国時代、荒廃し、新しいモノが手に入らない時代に
「古くなる、錆びれていく」モノに価値を見出す。
それは、貧しい時代を豊かに生きるための視点を発見したということ。
この新たな視点Another Angleは、必ず、課題や悩みから生まれているのです。
課題山積みの日本、2020年東京オリンピック・パラリンピックにむけて、
コピーライターにとって、これほどチャンスな状況はない。
そんな視点でコピーに向き合う、それが最近のマイブームです。
電通 クリエイティブディレクター/CMプランナー。主な仕事はリクルートポイント「すべての人生が、すばらしい」、サントリー「南アルプスの天然水」、日清カップヌードル「SURVIVE!」、九州新幹線全線開業「祝!九州」など。
過去の自分にアドバイスを贈る
中治信博
タイムマシンで過去に行ってこの仕事を始めた頃の
何もわからなかった自分に会ったら、
コピーについて次のようなアドバイスを贈りたいです。
まず ...