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デザインプロジェクトの現在

ifs未来研サロンWORK WORK SHOPいよいよオープン!

川島蓉子

第3回:東京・外苑前の青山通り沿い、伊藤忠ビルの隣に、飲食店やアートギャラリーが軒を連ねるシーアイプラザがある。この一画に、私自身が所長を務めるifs未来研究所がサロンを構えることになり、そのプロセスを3回にわたってレポートしている。第1回の発端篇、第2回のオープンイベント篇に続き、最終回である今回は、いよいよのオープンとその後について綴る。

01 7月1日にオープンしたifs未来研サロン WORK WORK SHOP。

参加各社が「面白い場」と「新しい関係」を作る

ifs 未来研サロン WORK WORK SHOP(ワークワークショップ)は、5月29日のお披露目会に続き、正式オープンが7月1日と決まった。6月30日夕刻から行う前夜祭に向け、未来研のスタッフも参加企業のメンバーたちも大車輪で動き出した。

もともとの目的は、「面白い場」と「新しい関係」の2つを作ること。どんな空間で、どんなモノやコトと触れ合い、どんな人たちと出会ったら、働くことにワクワクできるのかそこを考えるのが、WORK WORK SHOPのコンセプトであり、参加企業であるコクヨファニチャー、コクヨS&T、ポーラ、ルミネとともに、さまざまな実験をしていくことにある。机上での調査研究ではなく、場を使ってかたちにしながら、新しいモノやコトを試みてフィードバックを得ていく。そういったWORK WORK SHOPの意図を、前夜祭でどう表現して伝えていくかに知恵を絞った。

コクヨファニチャーは、空間デザインを手がけたKEIKO+MANABUとコラボしたオリジナルのオフィス家具。WORK WORK SHOPにおける実験の一つであり、これを使って仕事してもらうことに意図がある。カフェスペースに置いてある家具のそばで、担当者が説明し、来場者の反応をはかることにした。また、コクヨS&Tは、野帳という測量用の手帳を、自分仕様にカスタマイズするワークショップを開催することに。測量用というと堅苦しいイメージがあるが、コンパクトな野帳はシンプルな佇まいが美しいし、使い勝手も良い逸品。そこに、栞、ゴムベルト、ポケットなどを、好みで付けるワークショップを行うことにした。

ポーラは、「きれいになってワクワクする」をテーマにした美容・サービスということで、メークやスキンケアなど、一人ひとりに合わせたワクワク体験を提供した。オープニングでは「肌の未来を知ってワクワクしよう」をテーマに、肌の全層分析を行う。全層分析とは、肌の表面のミクロな情報から、深部にいたる全層を推定するというもの。次世代型システムを用いて、角層だけでなく真皮のコラーゲンや毛細血管の状態など、細部にいたる肌分析が行える。専門の機器を持ち込んで、鏡を前にカウンセリングを受ける。そんなイベントを繰り広げることになった。

ルミネは、「未来の売り場」をテーマにしたLUMINE Laboを出展することがWORK WORK SHOPにおける実験。これまでルミネが行ってきた、アート活動であるLUMINE meets ART、エコ活動であるchoroko、クリエイター支援であるLUMINE THE QUARTIER-LA、地域支援であるKOKO LUMINEといった、ルミネのオリジナルの取り組みを紹介するとともに、ルミネとして提案していきたい、ヒト・モノ・ウツワ・コトにまつわるテーマを、順番に設定、発信していくこととした。オープニングはLUMINE meets ARTの括りのもと、ワークショップやイベントを開催するということで、アーティストユニット「81 BASTARDS」がパフォーマンスを行うとともに、DJブースを設けて音楽も繰り広げた。

業界を広く越えた人が集い、
交流するサロンの実現

02 オープン初日、会場は多くの来客で賑わ った。

いざオープン。16時のプレスプレビューがスタートすると、早速、何名かが入場してくる。人が入ることで、空気が動き、場が息づき始める。それぞれの企業が繰り広げる展示やイベントの前に立ち止まって、説明を聞きながら取材している。「人が来なかったらどうしよう」という私の心配をよそに、入場者がどんどん増えていき、一般公開の17時を過ぎたあたりから賑わいが盛り上がってきた。ネクタイにスーツ姿のビジネスマンもいれば、Tシャツに短パンのアーティストもいる。60歳を優に越えた経営者もいれば、20代の若者もいる。男女もほどよく入り乱れている。もともと私が理想型として思い描いていた、年代・世代・職種を越えた多くの人たちが集まり、交流する場が、朧気ながら現実化している。そう思うと、ちょっと感無量な気分だった。少しほっとした気分であたりを見てみると、あそこにもここにも知り合いが友人・知人が顔を出してくれているのだ。駆け寄っていって、思わずハグしたり、話し込んだり。あっという間に時間が過ぎていったのである。身体はクタクタになったが、心は感謝の気持ちで充ちていた。

そして翌日、正式なオープンである。11時に開き19時には閉まる。WORK WORK COFFEEという名の美味しいコーヒー屋が入っていて、訪れた人には無料でコーヒーがサーブされる。各社がワークショップやプレゼンテーションを行う一方で、さまざまなミーティングがされていたり、テーブルにパソコンを置いて仕事する人もいて、ちょっと不思議な光景が繰り広げられている。ただ、前日のパーティーとは打って変わって、訪れる人はまだポツポツ。どうしようかと心配する一方で、オープンしたばかりの場で、認知度がないのも仕方ないと思い直す。ただ、対策は打たねばならない。もっとたくさんの人に知らしめ、来てもらうにはどうしたらいいのか?」。早速、参加企業と運営チームが集い、定例ミーティングを行うことにした。課題を解決し、目的を達成するために、何をすればいいのか、知恵を出し合っていこうというのである。

果たして上手くいくかどうかは未知の領域だし、ダメだったらどうしようという不安がないわけではない。それでも、チームが一丸となって未来に進んでいくことは、何だか気持ちがワクワクする。WORK WORK SHOPという名前に負けないように、これからがんばっていこうと思う。

皆さん、ぜひ、お立ち寄りください。そして、展示や発表、トークショーなど、利用したいアイデアがあれば声かけてください。産声を上げたばかりのWORK WORK SHOPを、どうぞよろしくお願いします。

03 コクヨファニチャーによる「ワクワクするオフィス家具」とコクヨS&Tによるワークショップ。カフェスペースに置いてある家具のそばで、担当者が説明する。

04 ポーラの肌チェックブース。メークやスキンケアなど、一人ひとりに合わせたワクワク体験を提供した。

05 ルミネでは、ライブベインティングユニット「81 BASTARDS」によるライブ・パフォーマンスを行うとともに、DJブースを設けて音楽も繰り広げた。

川島蓉子(かわしま・ようこ)

1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院修了。共立女子大学、多摩美術大学非常勤講師。Gマーク審査委員。著書に『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)、『ブランドはNIPPON』(文藝春秋)などがある。

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