グラフィックを中心に広告デザインを手がけてきたたき工房が、新たにプロダクトブランドやアプリ開発、社会貢献プロジェクトをはじめている。自ら発信するものに機会と挑戦を。たき工房は広告の領域に地盤を固めながら、新しい領域に大きく羽ばたこうとしている。
左から 手塚貴昭さん(チーフデザイナー)、井上元気さん(プロデューサー)、石井文努さん(チーフデザイナー)、村上智香さん(デザイナー)、黒羽紘美さん(デザイナー)、佐藤由起子さん(コピーディレクター)、藤井賢二さん(アートディレクター)。
人の「思い」をカタチにする
たき工房は情熱を持つ者にチャンスを与えてくれる制作会社。1960年の創業以来、脈々と受け継がれている姿勢だ。多様化する企業の課題をデザインの力で領域を越え、解決に導いていくのが同社の目指す姿であり、デザイナー、コピーライター、プランナー、プロデューサーなどさまざまなスタッフがひとつに体制を組み、課題解決に向け、ワンストップで対応していく。近年は広告以外の活動も盛んだ。その一つが2012年よりスタートした、プロダクトブランド「TAKI PRODUCTS」だ。
若手デザイナーたちの、「もっと“個”が立つ仕事にチャレンジしたい」という複数の意見が寄せられたことを受け、実現した商品を制作するプロジェクト。ヒトに「伝えたくなる」ものをテーマに、ステーショナリーなどのオリジナルプロダクトを開発している。
第二回のプロジェクトでは前回を上回る約86点のアイデアが集まった。その中で、最も投票を集めたのが村上智香さんがデザインした扇風機の吹流し「Fan accessory」だ。「無機質なものが多い扇風機の吹流しですが、ヘリコプターやスカイダイバーなどの絵を描いたモチーフが揺れると楽しいかなと。雑貨店だけでなく、家電量販店でも取り扱ってもらえることを期待しています」。
その他、表紙のバンドに、ペンやカードを挟んで「拘束」して持ち歩くことのできるユニークな大判ノート「ボンデージノート」や、ドレスのスカート部分をくるっと巻いてとめると、立ち姿のおひめさまになり、書いたことが隠せる「ひめのメモ」など、いくら制作過程がデジタル化しようとも、アイデア勝負が基本にあることを気づかせてくれる逸品ばかりだ。
2013年には、自社アプリ「Hello Petz」もリリースした。13文字以内のメッセージをかわいいキャラクターがアクション付きで相手に届けてくれる実用的なアプリ。「キャラクターの認知=会社の認知として広げていきたい」と開発に参加した手塚貴昭さんが話すように、キャラクタービジネスにもつなげていきたい考えだ。また、先端技術の情報収集、啓蒙活動やプロトタイプ制作などを狙う「研究開発チーム」があり、他の開発会社と協同で企画・開発も行っている。
そして、プロダクトやアプリの開発だけでなく、「社会貢献活動をしたい」という声から実現したのが「クレヨンプロジェクト」だ。アフリカの貧困層の学校には紙も画材もないため、ほとんどの子が自由に絵を描ける環境ではない。そこで、たき工房では創作活動を通して、自分と他者、社会や世界とのつながりを認識し、新しい世界を知ってもらうことを目的としたワークショップを開いた。プロジェクトに参加した藤井賢二さんは「この活動を通して、だれかのために絵を描く機会を提供できればと思いました。僕自身、ビジュアルコミュニケーションの力でこれほど人のために役立つことができたと実感できたことはない」と話した。
生身の“人”とのコミュニケーション
制作会社の仕事は、ただグラフィックだけをつくっていればいいという時代ではなくなっている。先端テクノロジーや新しいメディアの出現などにより、不特定多数のさまざまな人々とコミュニケーションをする社会の中で、たき工房が考えるのはあくまで生身の“人”とのコミュニケーションだ。「読書や美術館鑑賞はデザインのインプットになりますが、先輩と相談したり、教えてもらうことが自分の成長につながっていると実感しています。クリエイティブ領域のさまざまなエキスパートが在籍していることがたき工房の強み。若手にとってとても居心地がよく、高みへと導いてくれます」(黒羽紘美さん)。
「これからの制作会社に求められるのは、企画の上流のアイデアや効果を考えることです。たき工房はグラフィックの制作会社と業界では精通しているけれど、僕ら若手から新しいプロジェクトを立ち上げ、会社のポテンシャルを上げていきたい」(井上元気さん)。
たき工房の精神は、若い制作者たちに受け継がれ、広告に軸足を置きながら、グラフィックやメディアを超えたさまざまな分野で大きく羽ばたこうとしている。
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【求人情報】
たき工房は、以下の職種を募集しています。
●グラフィックデザイナー
●コピーライター
●Webディレクター
詳細は http://taki.co.jp/へ。