企業の心まで伝えるコミュニケーション・クリエイター集団エージー。Webコミュニケーションチームを再編するなど“新生”に向けて組織体制の強化を図っている。
左から高橋史倫さん、松井麻衣子さん、田中梨紗さん、瀧澤壮一さん、佐々木彩子さん、中村優歩さん、山﨑博史さん、
青木国男さん、佐藤義則さん。
企業のパートナーとして積極的に提案
エージーとは「AZ」と書き、広告のAからZまでワンストップで手がけるという意味が込められている。その実現のため、1962年の創業から50年間以上も、質の高いクリエイティブと提案力を提供し続けてきた歴史と実績のある制作会社である。
「企業の商品やサービスを伝えるだけでなく、企業の心まで伝えたい」という創業者の思いから、クライアント各社の宣伝部内にスペースをもらい、懐に飛び込んだ。そこにコピーライターやデザイナーなどのチームを常駐させて、広告全般の販促活動から、商品開発まで行ってきた。代表取締役副社長の秋元敦氏は「クライアントのパートナーであるという意識で、一緒に考えて作りあげていくのが従来変わらない姿勢」と話す。直クライアントだけでなく、広告会社からの仕事を請けるようになった現在もその姿勢は変わっていない。
一般的に制作会社は実制作を行うデザイナーの人数が多いが、「企業の心まで伝えたい」という思いを具現化するため、フロント機能を担うプロデューサーを充実させている。的確に顧客ニーズを捉え、その情報をクリエイティブスタッフと共有して企画制作を進めていく。また、全ての案件に参画し、撮影の段取りなどの諸々の手配や管理まで任せられると、高く評価されている。
提案力もエージーの大きな強みだ。受注産業のように与えられた仕事をこなすのではなく、一人ひとりがマーケティング視点の企画を提案して実現していく。
そのひとつが、カゴメの“トマトキッチンカー”だ。2011年の東日本大震災を機に、カゴメに提案し、実現した。
トマトキッチンカーは、2012年から東北復興支援や店頭販促、大規模会場でのイベントなどに出動している。トマトのように真っ赤なボディ、愛らしいフォルムのトマトキッチンカーは、どこへ行っても注目の的となる。車内で調理したナポリタン焼きそばやトマトハーブ鍋などを提供して、カゴメ製品の使用イメージを喚起し購買につないでいる。今年は東京マラソンEXPO会場にも出動し盛況だった。
東日本復興支援では、2012年から2014年3月の間で、被災3県56カ所の幼稚園や保育所、小学校などを訪問。カゴメトマトケチャップやトマトを使った調理体験を実施した。今年度はトマトキッチンカーによる支援のほか、全国から復興支援に集まってきた人々を束ねて大きな力にする企画を開発する東北プロジェクトを立ち上げている。単純な広告制作では終わらせない。企業の心を投映する。それがエージー流である。
組織を改編し人材を育てる“新生エージー”改革
広告業界が激変するなか、伝統を残しつつ時代にマッチした組織体制づくりを行い、“新生”に向けた改革に取り組んでいる。
広告会社や直クライアントに対応するこれまでのクリエイティブ、プランニング、プロデュース、サポート部門のほかに、今期はエディトリアルチームを新設した。ダイレクトマーケティングなど多様な顧客ニーズに対応するため編集制作のスペシャリストを編成し、クリエイティブの領域をさらに拡大した。
今年新しく組織を再編したWebコミュニケーションチームは、今後最も伸びるのではないかと期待される部署だ。昨年まではWebディレクターが2人で担当していたが、プロデューサーやWebデザイナーを増員して、コンサルティングからデザインのアウトプットまで、一貫して提供できる体制を整えた。このチームは、Web制作の仕事だけでなく、戦略や調査分析に基づくマーケティングまで行えるという強みがある。
組織体制の強化とともに力を入れているのが人材育成だ。即戦力となる人材の確保のほか、社の“遺伝子”を受け継ぐ人材を一から育てようと、数年ぶりに新卒を7人採用した。
「年功序列など一切関係ない、自由な風土」と秋元氏は言う。だがそれは、力とやる気がある者には大きなチャンスとなる世界だが、妥協や流れ作業的な仕事しかしない者には、居場所がなくなっていく厳しい世界だ。
「いくらでも喧嘩して、自由にやって、自らのブランドを築いていけ」というのが前社長の口癖だった。副社長に就任した秋元氏も、「強烈な個性を持つ個人商店の集まりです。クライアントの価値創造の範囲であれば、やりたいように突き進んでいけばいい」と話す。マーケティング視点でユニークな提案をし続けるコミュニケーション・クリエーター集団であり続けるために、エージーの改革はこれから加速していくだろう。
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【求人情報】
エージーは、以下の職種を募集しています。
●グラフィックデザイナー
●エディトリアルデザイナー