全国各地で展開される地域の芸術祭。それをきっかけに地域とクリエイターの継続的な良い関係を築き始めている例がある。瀬戸内国際芸術祭をきっかけに生まれた小豆島 醤の郷+坂手港プロジェクトだ。
島を考えると、日本の未来が見える
瀬戸内海の島々を舞台に3年に一度開催される「瀬戸内国際芸術祭」。第2回開催を迎えた昨年、小豆島町の南東部に位置する醤の郷+坂手港エリアを舞台とした初のデザインプロジェクトが展開された。「ディレクターの椿昇を中心に、“観光から関係へ-Relational Tourism-”というコンセプトのもと、持続可能性を重視したプログラムを構想しました。小豆島の豊かな自然、文化、伝統、産業、人情に触れるたびに、名所をめぐる一度限りの“観光”ではなく、そこに住まう人々との“関係”を紡ぐという関わり方が、この島にはぴったりだと思うようになったんです」と企画を手がけたデザイナーの原田祐馬さんは話す。「木桶で作る伝統的な醤油づくりなど、島が紡いできた伝統・文化を大切に、未来につなげていこうとする島の皆さんの思いに触れて、一緒に何かできないかと考えるようになりました」と同じく企画を手がけた編集者の多田智美さん。