赤瀬川原平のパロディーとユーモア
これまでデザインに関して、たくさんの人やものから影響を受けてきました。その中でもデザインに対する態度で最も影響を受け、今もたびたび思い出すものがあります。それは、前衛芸術家の赤瀬川原平が1970年代に週刊誌『朝日ジャーナル』(朝日新聞社)で連載していた『櫻画報』です。
デザインの見方
1990年4月1日、僕が博報堂に入社したその日、大貫卓也さんが手がけたとしまえんの「史上最低の遊園地」が出稿されました。入社式を終えた新人はもちろん、営業職の人たちも「あれ見た?」「すごいよな!」と騒然としている様子を見て、クリエイター以外の人々まで名前が知られている大貫さんは、やはりすごいと確信しました。というのも、学生時代に美大の図書館で見た大貫さんの「プール冷えてます」に衝撃を受けたことが、僕が広告業界を目指したきっかけだったからです。
初任地は大阪でしたが、東京に行くたびに大貫さんのワークルームを覗きに行きました。行くと言っても、恐れ多くて中に入って直接話をすることなどできません。部屋には莫大な資料が置いてあるとか、ミリ単位で違うレイアウトのラフが壁いっぱいにビッシリ貼られているとか、噂には聞いているものの中は見たことがありません。こっそり外からながめながら、大貫さんがどんな風に仕事をされているのか妄想を膨らませていました。