デザインと音が同一線上に見え、聴こえた
テクノミュージシャンのAphex Twin(エイフェックス・ツイン)のアルバム「Selected Ambient Works 85-29」を買ったのは、16歳の頃。今のようにインターネットは普及していなかったので、何か趣味を深掘りするには、必ずお金が必要でした。当時、レコードやCD、雑誌、本などを買うために、高校生ができることといえば、お小遣いを貯めるかバイトをするか。僕が通っていた学校はバイトが禁止だったので、音楽好きなクラスの仲間数人と画策したのが、お小遣いとは別に親からもらっていた昼食代を削ってお金を貯める方法です。親から渡されるお昼代は、500円。学食で一番安い200円の「ご飯とみそ汁のセット」を食べれば、1日300円キープでき、それを1カ月続ければ、各自、数枚のレコードを買うことができる。それを仲間と実行し、それぞれが好きなレコードを買い、カセットテープにダビングして貸し借りして聞いていました。そのカセットには、アルバムの感想を雑誌の記事風にまとめた手紙も添えていて、デザインは僕が担当していました。そんな楽しいやりとりをしていた頃に買ったアルバムのひとつが、Aphex Twinの「Selected Ambient Works 85-92」でした。