「これからの企業と生活者のコミュニケーションを変えるのは誰だ?」――宣伝会議 創業60周年の節目の号である本号では、メディア、テクノロジー、地域など、さまざまな切り口で、コミュニケーションの新しい可能性を拓いている40名あまりのクリエイターの活動を紹介します。なぜ、あなたはその活動に取り組むのですか? 自身の活動を通じて実現しようとしていることは何ですか? それによって企業のコミュニケーションはどう変わり、あるいは私たちの未来がどうワクワクするものに変わっていくのでしょうか?――これからのコミュニケーションを考えることは、これからの広告の形を考えることにほかなりません。彼らが語る言葉の中に、次なる広告の発想の刺激やさまざまなヒントが見つかるのではないでしょうか。あるいは、新しいコミュニケーションにチャレンジしたいときのパートナーとして、力強い味方になってくれるかもしれません。

スキーマ建築計画 長坂 常(ながさか・じょう)
1998年、スキーマ建築計画を開設。2007年事務所を上目黒に移転し、ギャラリーなどを共有するコラボレーションオフィス「HAPPA」を設立。
空間は完成したところから始まる
美しい空間も大事だが、多くのお店にとって何よりも大事なのは店頭の商品がきちんと動くこと。それを実現できる空間が以前より求められている。「ものが動くアクティビティやコミュニケーションをいかにデザインできるか、それがいまの空間の課題。建築家だから形のデザインだけ考えていればいい時代ではなくなっていると思います」と話すのは、建築家 長坂常さん。
今年、長坂さんは化粧板メーカー 伊千呂と開発した、竹を使った家具をミラノサローネで発表する。長坂さんは伊千呂より依頼を受け、いま世の中にある家具をリサーチして独自に体系化。この家具の製作にあたり、「家具で建築を考える。建築では重すぎるささいな行為を家具に託すことで得られる可能性を想像する」こととテーマをとらえ直し、家具のコンセプトブックを制作した。