「これからの企業と生活者のコミュニケーションを変えるのは誰だ?」――宣伝会議 創業60周年の節目の号である本号では、メディア、テクノロジー、地域など、さまざまな切り口で、コミュニケーションの新しい可能性を拓いている40名あまりのクリエイターの活動を紹介します。なぜ、あなたはその活動に取り組むのですか? 自身の活動を通じて実現しようとしていることは何ですか? それによって企業のコミュニケーションはどう変わり、あるいは私たちの未来がどうワクワクするものに変わっていくのでしょうか?――これからのコミュニケーションを考えることは、これからの広告の形を考えることにほかなりません。彼らが語る言葉の中に、次なる広告の発想の刺激やさまざまなヒントが見つかるのではないでしょうか。あるいは、新しいコミュニケーションにチャレンジしたいときのパートナーとして、力強い味方になってくれるかもしれません。
トノループ・ネットワークス トム・ヴィンセント
企業、団体、プロジェクト、個人の「面白い」を世界に届けるトノループ・ネットワークス代表。1989年に初来日、96年より日本在住。99~2006年、イメージソースの役員兼クリエイティブディレクターに。バイリンガルオンラインマガジン「PingMag」を運営。
“いま”を見つめ、“次”を考える
2005年、デザインやものづくりをテーマとしたWebマガジン「PingMag」を立ち上げたトム・ヴィンセントさんは、それ以来、日本各地の価値あるものづくりや、それに携わる職人、企業を見つめ、国内外に紹介し続けてきた。
いま多くの日本人が、経済や教育、エネルギーなどさまざまな物事について、「本当にこれでいいのか?」と既存の価値観に疑問を感じ始めている。そうした中、「PingMag」では、“次”“これから”の日本を考えることに重きを置いているという。「あるべき姿を考えるために、『いま』を見つめ直す。これから私たちが大切にすべき価値とは何かを考えるための、ちょっとしたヒントを提供できればと思っています。Webをベースに、5月にはそこから派生した書籍も出版する予定です」。着目するテーマは、日本に根づく文化や慣習、芸術までさまざまだ。例えば、私たちの住まい。「なぜこのようなかたちなのか」「海外との違いは何か」「よいところはどこか」――このように現状を見つめ直しながら気づきを得ることで、次に住まいを選ぶときのヒントにすることができる。