「これからの企業と生活者のコミュニケーションを変えるのは誰だ?」――宣伝会議 創業60周年の節目の号である本号では、メディア、テクノロジー、地域など、さまざまな切り口で、コミュニケーションの新しい可能性を拓いている40名あまりのクリエイターの活動を紹介します。なぜ、あなたはその活動に取り組むのですか? 自身の活動を通じて実現しようとしていることは何ですか? それによって企業のコミュニケーションはどう変わり、あるいは私たちの未来がどうワクワクするものに変わっていくのでしょうか? これからのコミュニケーションを考えることは、これからの広告の形を考えることにほかなりません。彼らが語る言葉の中に、次なる広告の発想の刺激やさまざまなヒントが見つかるのではないでしょうか。あるいは、新しいコミュニケーションにチャレンジしたいときのパートナーとして、力強い味方になってくれるかもしれません。
電通 なかのかな
電通 コミュニケーション・デザイン・センター 次世代コミュニケーション開発部 コミュニケーション・プランナー。ネット広告代理店を経て09年より電通。新しいテクノロジーから発想した「ちょっと未来のコミュニケーション」を企画・開発している。
アウトプットの作り方がカギ
テクノロジーを活用し、“ちょっと未来”のコミュニケーションの開発に取り組む、なかのかなさん。脳波や生体センサーを使った開発プロジェクト「neurowear」から生まれたウェアラブルデバイス「necomimi(ネコミミ)」は国内外で大きな話題になった。「テクノロジーによって、『幸せ』『楽しい』といった人々のポジティブな実感を増やせたらと考えているんです」と、なかのさん。
Twitter、Facebook の『いいね!』、Instagram――感情をインプットする方法を簡易化・非言語化していくのは、これからのコミュニケーション開発における一つの方向性だが、ポジティブな感情やコミュニケーションを喚起するためには、アウトプットの作り方こそ重要だという。「neurowearのプロトタイプは、コンセプトムービーやデモで世界中に拡散することを前提としているので、異なる文化圏の人にもなるべくわかりやすく、誰かに伝えたくなるような表現を意識しています。個人的には、老若男女問わず身につけた人がかわいくなったり、見ている側が思わず笑ってしまったり、自分もやってみたくなるようなものが実現できたらいいなと思っています」。