企画の狙いと出演者のキャラクターの接点から、出演者の"らしさ"が生まれる演出を導き出す。それによって映像に説得力が生まれると、博報堂プロダクツのディレクター賀内健太郎さんは考えている。
かうち・けんたろう
1975年生まれ。大阪出身。99年早稲田大学卒。サットンプレイス企画演出部を経て、2004年、博報堂フォトクリエイティブ入社。2010年より、博報堂プロダクツ企画演出部部長。IAAベストCM賞。アドフェストフィルム部門銅賞。日テレCM大賞審査員特別賞。
"らしさ"の生まれる接点を見つける
舘ひろしさんら石原軍団が、軍団に新加入する軽自動車を迎え入れるスズキ スペーシアカスタムのCMや、おせんべいのにおいを嗅ぐ松平健さんが、鼻で息を吸う力の強さのあまり自分のひげや髪の毛を吸い込んでしまう三幸製菓のCM、太った母親が庭のプールに飛び込む東京サマーランドのCM...。博報堂プロダクツのディレクター賀内健太郎さんが手がけるのは、いずれも出演者のキャラクターを生かした、ユーモアある映像だ。
賀内さんは「ユーモアを使うことで、より人々に届きやすくなる」と話す。ただし、気をつけているのは「その人が出演している必然性」を出すこと。「企画に合わせて演じてもらった結果、『他の人でもよかった』『誰がやっても同じだった』ということでは、いいものにはなりません。その人らしさを出してもらうことで、映像に説得力が生まれると思っています」。そのため、企画の狙いと出演者のキャラクターをかけ合わせたときに、その人らしさが生まれる接点を見つけることが大切だ。それによって、リアリズムではなく特殊な世界を描いた映像でも、違和感がなく溶け込むという。