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広告の現場を支えるプロフェッショナルの仕事術

シズルプランナー 森沢のり子「味覚と嗅覚を刺激する 『美味しい』映像ひとすじ」

森沢のり子(シズルプランナー)

食品のCMにとって"命"とも言えるシズル表現。「シズルプランナー」を名乗る森沢のり子さんは、30年以上にわたって映像の中の美味しさを追求し、日本人の胃袋を刺激しつづけてきた。

森沢のり子(もりさわ・のりこ)
フードコーディネーター、シズルプランナー、テーブルコーディネーター。茨城生まれ。八洋社スタジオに美術進行見習いとして入社、飯田みゆきクッキングスタジオ、柳原料理教室を経て、1983年スタジオジェリービーンズ設立。永谷園、エスビー食品、味の素、日清食品などの広告撮影のほか、商品開発も手がける。

いいシズルは見た人の記憶を呼び覚ます

白いご飯にお湯が注ぎ込まれると、湯気が一気に上がり、やがて米つぶを取りかこむお湯が徐々にグリーンに染まっていく...。このとき、映像を見ている人の口の中には自然とあの“お茶づけ海苔”の味が感じられているはずだ。シズルプランナーの森沢のり子さんは、永谷園やエスビー食品のCMなど日本を代表する食品メーカーのCMを30年にわたって手がけてきた。この肩書きを使い始めたのは15年ほど前。通常CMの企画は、食べ物をどう見せるが固まった段階でフードコーディネーターに声がかかる。だが、森沢さんは食品をどう演出し、見せたら美味しそうになるか、企画の段階から参加して考える。だから「プランナー」を名乗っている。

味覚や嗅覚を刺激するビジュアル作りには、常に演出のアイデアが必要だ。例えばおみそ汁やスープの撮影で、ひらひらとしたわかめを見せたいと考えたとする。だが、実際にはわかめは沈んで見えなかったり、重なって浮いて黒っぽくなり美味しそうに見えない。そこで発明したのが、お湯に剣山を入れてわかめを浮かせるアイデアだ。剣山を金のこで切り、その上にわかめを乗せると、さりげなく浮いているように見える。華道の経験から生まれたアイデアだったが、その後もラーメンにチャーシューを浮かべたいとき、サラダのグリーンの葉を透過光できれいに見せたいときなど、さまざまな撮影に応用されている。

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