通常のCMとは異なる難しい条件下での撮影・制作を見事成功させ、JAC AWARD 2013「リマーカブル・プロデューサー・オブ・ザ・イヤー」のファイナリストに選出された渋川恭一さん。CMにとどまらない、さまざまな映像制作の経験が、プロデューサーとしての仕事の幅を広げていくことにつながると考えている。
ティー・ワイ・オー 渋川恭一(しぶかわ・きょういち)
ティー・ワイ・オー プロデューサー。1977年大阪府生まれ。自主映画制作、映写技師などを経て2003年にCM制作業界に入る。最近の主な仕事はKIRINのどごし<生>夢のドリーム、TAMTAM(PV)など。
型破りな企画を通して成長する
自主映画の制作に始まり、7年ほどの映像制作業務を経験したのち、TYOプロダクションズへ入社。プロデューサーになったのは2012年で、その初仕事が、今回のファイナリスト選出のきっかけにもなったテレビCMシリーズ「キリン のどごし〈生〉『夢のドリーム』」だった。
「プロレスラーになってリングに立ちたい」「カンフースターになりたい」「もう一度バンドを組んでステージで演奏したい」――シリーズを通して、一般の人のさまざまな夢を叶えてきた同企画。渋川さんにとっては、プロデューサーとしての仕事の幅を広げることにつながる、新しい挑戦の連続だったという。「プロデューサーとしての業務は、実現する『夢』を探すところからスタートします。公式サイトに届く何万通もの応募や、街頭インタビューの中から、実現可能性があり、かつ企画として面白そうなものを選び、数十案くらいまで絞り込みます。次に1人あたり30分~ 1時間かけて個別にインタビューを行い、最終的に実現する夢を決定します。撮影は、ライブや試合といったイベントを実際に実施して、その様子をとらえるドキュメンタリー形式。撮影=イベントですから、イベントプロデューサーと連携してお膳立てをし、イベントが始まったらあとは自動操縦です。どのタイミングにどんな表情が撮れるかわかりませんから、カメラは常に30~ 40台体制。撮影チームのディレクションも、いつも以上に難しかったですね」。