IDEA AND CREATIVITY
クリエイティブの専門メディア

           

広告の現場を支えるプロフェッショナルの仕事術

美術デザイナー 斉藤貴教「撮影の瞬間に真価を放つものづくり」

斉藤貴教(美術)

CGの技術が発展する中でも、広告制作の現場では、人の手によって作られるものの温度感を求めて、美術が重宝されるシーンは少なくない。斉藤さんは美術デザイナー歴約10年のキャリアだが、制作現場では現在も、初めての素材や手法など、新たなチャレンジに向き合う機会が少なくないという。

さいとう・たかのり
美術デザイナー。多摩美術大学彫刻学科卒業後、SUI参加。「ドコモダケ」「中部電力」など、ミニチュアセット制作に携わる。近年の主な担当作品に「ネピア Tissue Animals」「明治ミルクチョコレート バレンタイン」などがある。

限られた時間と予算の中で最高のクオリティを実現する

一口に「美術」といっても、制作物は大きいものから小さいものまでさまざまだ。中でも斉藤さんは、手先の器用さを生かした、ミニチュアセットの制作を得意としている。例えば、王子ネピア「鼻セレブ」の発売10周年を記念した広告。イメージキャラクターの浅田真央さんが身に纏う「『鼻セレブ』でできたドレス」の制作を手がけた。「ドレスのデザインはまったく経験がありませんでしたが、アートディレクターの『さまざまな素材を扱うことに長けた美術ならではのデザインをお願いしたい』という後押しもあり、お受けすることになりました」。王子ネピアから納品された「鼻セレブ」の原紙を、縫ったり、折ったり、貼ったりと試行錯誤を重ねた。「ドレスづくりも、ティッシュという強度の弱い素材を使うのも初めて。元々水分を吸収しやすい素材だった上、制作時期は7月と梅雨が明け切らないタイミングだったので、布団乾燥機で素材を乾燥させながら作業しました」。

あと52%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

広告の現場を支えるプロフェッショナルの仕事術 の記事一覧

BIRDMAN 高橋智也「仕事の丁寧さが世界観を守る」
Katamari Inc. イズカワタカノブ「頼れるWebの裏方目指す」
スタイリスト三田真一「あらゆるものを『スタイリング』で切り取る」
P.I.C.S. 針生悠伺、諏澤大助「プロジェクションマッピングはショー演出だ」
ライジン 山田陽平「アナログ時代からの技術の積み重ねをCGに昇華させる」
照明家 藤井稔恭「現場の空気感を照明で生み出す」
効果や 石川秀行「ラジオCMで生きる音のリアリティ」
かみの工作所 山田明良「印刷現場から発想する紙のプロダクト」
凸版印刷 森岩麻衣子「オリジナルの感動に極限まで近づけていくのがプリンティングディレクターの仕事」
作曲家 井筒昭雄「印象に残る音楽作りの鍵は『鮮度』と『化学反応』」
CMプロデューサー 渋川恭一「多様な映像制作で知見を広げたい」
シズルプランナー 森沢のり子「味覚と嗅覚を刺激する 『美味しい』映像ひとすじ」
ヘアメイクアップアーティスト 冨沢ノボル「ドラマの予感を演出するヘアメイク」
美術デザイナー 斉藤貴教「撮影の瞬間に真価を放つものづくり」(この記事です)
美術デザイナー 中村桃子「幼いころから続く ものづくりの延長」
振付稼業 air:man「ダンスはどんな価値を提供できるのか?」

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
ブレーンTopへ戻る