2011年3月の東日本大震災以降、食の安全性とともに危惧する声が高まった「土の安全性」。生活者の不安に答えながら、自社製品の価値を伝えた企画の成功のカギは、「狭義と広義」のクリエイティブの相乗効果にあった。
01 マスメディアへの影響力が強いWebメディア20人を招いた試食会を起点に、多数のニュースサイトに掲載・転載され、試食会に参加していないWebメディアや、テレビを中心としたマスメディアからも取材依頼が入った。また、海外での話題化を図るため「ロケットニュース24」英語版に記事を掲載したところ、米Yahoo!の「Yahoo!News」トップ(写真)から、CNN、BBC、さらには『National Geographic』の特別番組と、露出が大きく広がっていった。「ロケットニュース24」以外の海外メディア露出は自然発生的なものだという。
02 フルコースの一部。土のアイスクリームと、土のリゾット。
広義と狭義、2つのクリエイティブ
「土のレストラン」は、100%オーガニック品質のガーデニングブランド・PROTOLEAFが、製品の安全性を消費者に伝えることを目的に2013年1月に展開した企画だ。東京・五反田にあるフレンチレストラン「ヌキテパ」で提供したのは、土でできたフルコース。国内のみならず世界20カ国以上のメディアに注目され、PROTOLEAFの取り組みとして紹介されたことで、同社の商品売上げが前年比134%となる結果にもつながった。PRを担当したTBWA\HAKUHODOの三浦崇宏さんは、人々の態度変容・行動喚起を促すPRをワークさせるためには、「広義」と「狭義」、2つのクリエイティブの相乗効果を生み出すことが重要だと話す。「メニューリストや料理をおしゃれにするという狭義のクリエイティブも大切ですが、近年はそれ以上に、商品やブランドが持っている価値をいかに人々が望む『ニュース』に翻訳するかというアイデア、つまり広義のクリエイティブが重要だと感じています。まず『価値』をつくった上で、それをより効果的に伝えるための『もの』をつくる。今回の企画は、それを実践した一例です」。「安心・安全な土」という価値を人々に最も直感的かつスピーディーに理解してもらえる手法として、「土を食べる」というアイデアを選び、その上で、より話題化しやすいよう、料理としての美味しさ、見た目の美しさも重視した。