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デザインプロジェクトの現在

作らずに作ることを考えるデザイン

谷尻誠(Suppose design office)

このところ、建築家の谷尻誠さんが気になっていた。広島に事務所を構えて仕事をしている。さまざまな分野の人を招いて「THINK」というトークイベントを続けている――活動の意図するところを聞きたいと思い、東京の事務所を訪れた。

01,02 「THINK」は、谷尻さんが広島のオフィスで多彩なゲストを招いて開催するトークイベント。スタッフだけでなく、一般の人も参加できる。ゲストは、アートディレクターの植原亮輔さん、木住野彰悟さん、長嶋りかこさん、編集者の伊藤総研さん(01)、フードディレクター野村友里さん(02)、落語家 柳家花緑さんなどジャンルも趣向もさまざま。

読み取り能力が多面的になれば嬉しい

谷尻さんの東京の事務所は、渋谷区富ヶ谷の路地裏、こじんまりしたアパートの4階にある。建築家やデザイナーの事務所というと、真っ白な空間に机や椅子が一分の隙もなく配されている、無駄なものは何ひとつ置かれていない――そんなところが少なくないのだが、谷尻さんの事務所は少し違う。扉を開けると、書類や模型が積まれたスタッフのデスクが並んでいて、中央に大きめのテーブルが据えられている。少し雑然とした空気が温かくて心地いい。「場の有り様は人の有り様を映し出す」と常日頃から思っていたので、ワクワクしてお話をうかがった。

「広島で『THINK』を開催しているのはなぜか」という問いに、「地方を活性化させるため」「地域貢献のため」など、かっこいい答えが返ってくると、勝手に予想していたが裏切られた。「スタッフのためなんです」というのが谷尻さんのコメント。「僕はたくさんの方にお会いして素敵な話を聞けるのですが、スタッフは聞くことができない」というのが理由だという。

経営トップの方と話していると「自分の発想に部下がついてきてくれない」「自ら視野を広げようと勉強する社員が少ない」というコメントは少なくない。私もそういった話をよく耳にする。「具体的なチャンスを作らずにそう言われても、スタッフはどうしていいのかわからないのでは」と谷尻さん。だから、自分が面白いと思った人を広島に招いて、スタッフに直に話してもらうことにした。「読み取り能力が多面的になってくれれば嬉しい」のだという。もちろんスタッフ以外の一般の人にも公開されている。おそらく勉強会然としているのではなく、谷尻さんの事務所のように、リラックスして交流できる空気があるからだろう。東京からわざわざ出向く人もいるという。

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