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ディレクターに聞く キャスティングの裏側

素人をキャスティングしたCMの舞台裏

高村剛(二番工房)

CMの出演者や音楽制作者に、プロではなくあえて素人をキャスティングする。二番工房のディレクター高村剛さんは、それによって"CM的"な文脈ではない、フックの効いた映像を生み出すことができると考えている。

たかむら・つよし
立教大卒。二番工房 企画演出部 ディレクター。最近の仕事にダイハツミライース、ポカリスエットイオンウォーター、ユーキャン、日清食品ロボタイマーなど。

CM慣れしていない人をキャスティング

「視聴者が見たことないけれど、インパクトのある人を起用したい」。これはタレントの登場しない、いわゆる「ノンタレCM」をつくる際、多くのディレクターが思うことだ。タレントCMであれば、まず知っている顔が出ているというだけでアイキャッチになる。一方ノンタレCMはまったく知らない顔が出てくるため、見る人を惹きつけるためのフックが必要であり、そのフックをシチュエーションや、キャストによってつくり出さなければならない。

しかし実際は、ノンタレCMに登場する人の多くも、「無名だけどよく見る」人たちだと、二番工房のディレクター 高村剛さんは話す。「多くのCMに出る人は、よく言えば芝居がうまく、悪く言えばこなれてしまっていることが多いのも事実です。自分の理解の外にいる人というか、考え方や感じ方がCM業界の我々とはずれている人のほうが、フックとして機能することがあります」。

そうした考えから、高村さんはDMM英会話のテレビCMに全くの素人をキャスティングした。自分の体験をポエトリーリーディングという形で発信している人物で、たまたまネットでその音声を聞いたことがきっかけだ。「ただの『誰も見たことがない変わった人』ではなくて、そこにちょっとした共感されるポイントがあった。それがテレビCMで受け入れられると思いました」。キャスティング会社などは通さず、自らメールでアプローチしてオーディションに参加してもらい、起用が決定した。

この考え方はキャスティング以外のこと、例えば音楽に関しても同様だ。ポカリスエット イオンウォーターのCM音楽は、プロの音楽制作会社ではなく、アマチュアバンドで活動している人に制作を依頼した。「良くも悪くも狙い通りのものを制作してくれるプロの音ではない、新鮮な音が必要だった」と振り返る。

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