『寄生蟲図鑑』
(飛鳥新社)
執筆・イラスト:スタジオ大四畳半
監修:公益財団法人目黒寄生虫館
東京・目黒にある「目黒寄生虫館」が監修した『寄生蟲図鑑』の装幀は、古い洋書を思わせるシックな趣。深いオレンジ色のラシャ紙の上に散りばめられた虫たちのイラストが目をひく。「目黒寄生虫館は女性来訪者が多く、来館記念やプレゼントとして買ってもらえるものにしたい」と編集者から依頼を受けたのは、装幀家 芦澤泰偉さん。「中身もさることながら、手にしたときに本そのものを楽しんでほしい」と考え、寄生虫のワッペンを1枚1枚貼ったかのように見え、なおかつその手触りを感じるカバーをつくりあげた。
この"ワッペン"、実に細かい加工が施されている。まずラシャ紙の上にシルクスクリーンで白地を刷り、スミでイラストを載せて、さらにカバーの裏から箔押し。その効果により表面の白地部分が浮き上がり、まるでワッペンを貼ったような効果を出すことに成功した。段ボール紙のケースの表面には穴をあけて、一番人気の寄生虫「フタゴムシ」の姿を見せている。寄生虫の形態を描いた細密画と生態の解説というマニアックな内容だが、装幀のデザインの美しさや楽しさがプラスになり、発売後、じわじわと売れ続けている。