旬のクリエイター6人による、ショートアイデア。今月のお題は「アイデアの選び方」。
Q アイデアの選び方を教えてください。
阿部晶人(あべ・あきひと)
オグルヴィ・ワン・ジャパン クリエイティブディレクター
A 半透明の妻がほほえむ
企画会議でずらっとアイデアを並べたとき、一つひとつの左上に、ARのように半透明の妻の顔がぼんやり見えていて、彼女がほくそ笑んだらOK。舌打ちしたらイマイチですね。つまり受け手のアクションをシミュレートしているってことなんですけど。どんなアイデアなら笑顔が見れるのかというと、「やわらかいアイデアか」「あたたかいアイデアか」「受けとりやすいか」の3軸をクリアしているものなんですよね。
松尾謙二郎(まつお・けんじろう)
invisible designs lab. クリエイティブディレクター/
アーティスト/コンポーザー
A やりたいことはストックしておく
作家というスタンスで自分をとらえています。そのため基本やりたいことはある程度ストックされています。考えたい案件と合う内容を探し、その中から最も自分の方向性と遠い物を外していくと、いくつかの案にしぼられます。あとはそのときにやりたいことを最優先。ただし、多少の「チャレンジしたい内容」を入れこみます。
築地ROY良(つきじ・ろい・りょう)
BIRDMAN President/Art Director/
Creative Director/Designer
A そもそも自分なら動くのか?
自分のフィールドはインタラクティブなので、そのアイデアが「自分だったら思わずやってしまうか?」「自分だったら拡散してしまいそうか?」「自分が初めてそれを見たら何かしらの感動をするか?」で選びます。もちろんそのアイデアは面白いということが大前提です。そのアイデアが突き抜けて面白ければ、「プロモーションとして目的を達成できるかどうか」「広告として腑に落ちるかどうか」というのは、こじつけでも何でも、どうにでもなる気がします。
井上庸子(いのうえ・ようこ)
アートディレクター
A 朝、新しい目で見る
アイデアは、たくさん出るほうではない、と思います。ひとつの芽を見つけ、小道を進んでいく、というか。選び方は、そのとき作っているものの出力を壁にはって(何タイプか並んでいることが多い)、次の朝、新しい目で判断する、でしょうか。
田川恵理(たがわ・えり)
ディレクター
A 心にたまるものはあるか?
アイデアを選ぶポイントは、「つかみがあるか」スマホをいじっている人が顔を上げるか。ーー「わかりやすいか」自分の母親でもわかるか。ーー「裏切りもしくは読後感があるか」“そうきたか”と思わせるか、もしくは何らかの余韻があるか、などです。わかりづらいならわかりづらくてもいいけど、澱のように、心につもりたまるものがあるかを見ています。
渋谷三紀(しぶや・みき)
アサツー ディ・ケイ コピーライター
A 表情、目や手の動きを観察する
選べません(笑)。だから人に見せます。意見を聞くというよりも、表情や目や手の動きをじーーーっと観察します。どうしても自分で選ばなくてはならないときは...ある方に言われて心に残っているのは「この広告をつくったのは、どんな人だろう」と思える広告のほうがいいということ。にじみ出てしまう「その人らしさ」が、広告をチャーミングにするのかなと思います。