「話題になる」はあくまで通過点。動画を制作する真の目的は、心に残るブランド体験を生み出すことにある。「YouTube Pulse」に登壇したSIXの本山敬一さんの話から、4つの動画の事例をもとに、心に残るオンライン動画づくりにおいて守るべきルールを解説する。
ユニバーサルインサイトに着目する
「話題になる動画をつくってほしい」。よくクライアントから映像制作を依頼されるときに聞く言葉です。でもただ話題になり、多くの人に見てもらい、ヤフーニュースで取り上げられたらそれが成功かというと、そうではありません。一瞬だけTwitterのタイムラインを埋めつくして3カ月後には誰も覚えていない。そんな動画ではなくて、1年後も3年後も、できれば一生覚えている、人の心に残る体験をつくりたいと思って、動画づくりに取り組んでいます。
今回は、オリジナルコンテンツをつくる、イベントをライブストリーミングで中継する、YouTuberやアーティストとコラボレーションする、カルチャーとコラボレーションする、という4種類の事例を紹介します。
1つ目のオリジナルコンテンツの事例としてSIXが手がけたものに、ロッテのソフトキャンディ カフカの動画「ふかふかかふかのうた」が挙げられます。現在700万回以上再生されていますが、その理由はこれが「子どもが泣き止む動画」だからです。科学的な裏づけをとり、調査結果として実際に96.2%の赤ちゃんが泣き止むというデータと共に、動画をリリースしました。動画を自分たちがメッセージを伝える手段としてだけとらえるのではなく、ユーザーにとって役立つ、嬉しいツールとして利用してもらうこと。それによって何度も見てもらい、ファンになってもらえます。