イラストを消した消しカスが動きだし、アニメーションの絵の一部になる。端地美鈴さんの作るアニメーションは、1枚の紙の上で「描いて」「消す」行為を繰り返すことで、生み出される。
消しカスが絵となり動き出す
鉛筆で絵を描き、絵を消した消しカスも利用して次なる絵をつくり、ストーリーを展開させる。端地美鈴さんのアニメーション作品は、イラストを描いたり、消したりする様子を定点カメラで撮影し、その映像を早送りすることでアニメーションになる。
2013年3月に京都造形大学を卒業した端地さんだが、この独特の制作手法は同大学の卒業制作にて初めて用いた。「描くことと消すこと」について考え、消しゴムで消す行為や、鉛筆で黒く塗った箇所に消しゴムで描く(消す)行為、鉛筆で塗りつぶして消す行為の次に、どんな表現が可能か探る中で生まれた。1枚の紙を最初から最後まで使用するため、完全に消しきれない消し跡が少しずつ残っていき、最後には消し跡しか残らない。そこが1枚ずつ異なる絵を描くアニメーションと異なり「時間軸を感じさせる魅力がある」と端地さんは話す。