近年、細分化されたインサイトではなく、普遍的なインサイトから発想されたキャンペーンが目につく。今年カンヌライオンズ・チタニウム部門審査員を務め、国内外で200以上の受賞歴を持つ電通・古川裕也さんが、インサイトとアイデアについて語る。

ふるかわ・ゆうや
電通 コミュニケーション・デザイン・センター長、エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター。クリエイター・オブ・ザ・イヤー、カンヌライオンズ28回、D&AD、One Show、アドフェスト・グランプリ、広告電通賞(テレビ、ベストキャンペーン賞)、ACC グランプリ、ギャラクシー賞グランプリ、メディア芸術祭など受賞多数。カンヌライオンズ、D&AD、クリオなど、国内外の審査員・講演多数。2013年カンヌライオンズ チタニウム・アンド・インテグレーテッド部門の審査員を務めた。
インサイトがアイデアを規定する
インサイトは、小説を書くのと似ていると思います。特に「物語」が無条件に信じられていた19世紀までの小説。バルザックの膨大な小説はパリ市井のインサイトを描いたし、スタンダールは野心的な青年のインサイトから小説を書いています。