「うちで踊ろう」(2020年、星野源)他
名言ヅラしていなくて、みんなのおもちゃになるようなコピーが好きです。「ダッダーン」は幼稚園でゲラゲラ笑いながら真似していた、原体験とも言えるコピー。当時はダダンというのが商品名だということも知らず、ただ語感が面白くてひたすら繰り返していたのですが、それってコピーの究極の到達点ではないかと思うのです。意味がないけれど魅力的な言葉には今でも強い憧れがあります。
名作コピーの時間
個人的な名作コピーを3つ選ぶ。正真正銘、自分が暮らしの中で偶然、接し衝撃を受けたコピー。するとそれは1行ですべてを語るキャッチコピーではなく、ナレーション、ボディコピー、会話でした。自分でも意外でした。ちょっと驚きました。
雪深い景色を走る列車。美しい音楽をバックに語られる言葉。「金沢へ行くのは、2年振りである。新幹線を長岡の駅で降りそこで、特急に乗り換える。日本海が、目の高さと同じになる。きれいな人が、本を読んでいた。」本を読む美しい人。金沢の曇り空。最後に「その先の日本へ。」映像、音楽、言葉。すべてが完璧。まだ、高校生だった僕は、偶然見たこのテレビCMに身体の芯を揺さぶられる衝撃を受けたのでした。なんだか、たまらずぴょんぴょんテレビの前を飛び跳ねた記憶があります。「こういうすごいものをつくれる人になりたい」。広告なのか、それともまた別のものなのか。まだあの頃は全然、わからなかったけれど。というか今でもわかってないけど。このテレビCMの衝撃は、まだ僕の芯にじーんと残っています。