アイデアとは新しい組み合わせである
『アイデアのつくり方』(CCCメディアハウス)を初めて手にしたのは、美大受験の予備校に通っていたとき。同じ予備校で尊敬していた友人に。この本いいよ」と薦められたのがきっかけです。その友だちはアートやデザインに詳しいだけではなく、流行の半歩先を颯爽と走っているような人。感度が高く知的で、今から30年以上前に「デザインは表層的なものではなく、経済も動かす」といった話をしていたほどです。そんな友人がすすめるなら間違いないだろうと、買ってみました。
デザインの見方
1992年、ギンザ・グラフィック・ギャラリーで葛西薫さんによる「AERO(エアロ)」という展覧会が開催されたのですが、これはその展覧会のポスターと、実際に展示されていた作品です。
当時僕は美大の2年生で、正直広告の世界には興味がありませんでした。イギリスのグラフィックデザイナー ネヴィル・ブロディの作品に強く惹かれていて、彼の手がけたレコードジャケットのデザインやファッション雑誌のアートディレクションに興味があった。例えば彼の『The Graphic Language』という作品集は僕のバイブルだったんです。
そんな中で、ある日「AERO」のポスターを見て、強く心を惹かれた。おそらくその頃は葛西さんの名前も知っていたかどうか怪しいのですが、それにもかかわらずポスターを目にしたことで実際にギャラリーまで足を運んだし、そこでまた強く衝撃を受けたわけです。