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ディレクターに聞く キャスティングの裏側

高校生の日常の延長線にある光景を切り取る

友久陽志(マザース)

きれいな景色を撮るように、人物を撮る。友久陽志さんは、出演者の魅力を過不足なく、自然にカメラに収めることが、ディレクターとしての自分の役割だと考える。

日常の延長を切り取る

ディレクター 友久陽志さんが福井市にある学習塾 今西数英教室のテレビCMの演出を手がけて、今年で3年目。本物の塾の生徒たち、それも大学受験を目指して勉強している生徒たちに出演をお願いしていることもあり、友久さんが気にかけているのは、生徒に負担をかけずに自然な姿を撮ることだ。

オーディションを開いて選考するのはよくないと考え、キャスティングは毎回授業の様子を見て気になる生徒を見つけ、出演を交渉する。そして出演を受けてくれた人は、例えばCM内で友達の設定であれば、本当の友達同士でキャスティングする。「自ら手を挙げている人たちではないので、彼らが『出てよかった』と思えるものにしたいと考えています」。

撮影においても可能な限り生徒に負担をかけないよう、描くシーンは自転車に乗る、スポーツをするといった、生徒たちの日常生活の延長線上にある光景だ。「表情や演技を要求することはなく、例えば物理的に自転車をもっと早く、遅くこいでという演出はしますが、それ以上はありません」。過剰に演出をするのではなく、生徒たちが持っているよさを、なるべく自然に、そのまま引き出すことを重視している。


    今西数英教室/CM A 篇

  • 企画制作/電通+ウィークス
  • 企画+ C /大石雄士
  • PR /柴原大樹
  • PM 殿村晋作
  • 演出/友久陽志
  • AD /加藤寛之
  • 撮影/志田貴之

人の魅力を過不足なく収める

「人を撮ることは、風景を撮ることとあまり変わらない」と、友久さんは話す。「目の前にあるきれいな景色を、そのままカメラに収めたいと皆考えますよね。僕は人を撮るときも、なるべくその人の魅力を過不足なく、映像に収めたいと思っています」。

本田技研工業「HondaLink」のWeb動画は、多様な人種のホンダ車ユーザーが登場。彼らをキャスティングし、演出する中で気をつけたのは、なるべく出演者の情報を集め、直接コミュニケーションをとること。話をしたり、特技を披露してもらったりする中で、ふと現れたいい表情や、いい言葉をカメラに収めた。「自分がこういう画が欲しい、と思ったものが、最上のものだとは限らないと思っています。それよりも、たまたま見せた仕草やふとした表情が、僕の想像を超えていいものであることも多い。その瞬間をいかに引き出すかが、ディレクターとして大切なことだと思います」。


    本田技研工業/ HondaLink Web ムービー

  • 企画制作/電通+ AOI Pro.
  • CD /菅野薫
  • 企画+ C /保持壮太郎
  • C /キリーロ・バナージャ
  • AD /大来優
  • クリエーティブ・テクノロジスト/菅野薫、米澤香子
  • PR /北村久美子、吉原鉄兵
  • PM /土屋摩祐、Dinusha Ratnaweera
  • 演出/友久陽志
  • DP / Alex Dufficy
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友久陽志

ともひさ・たかし
1976年、神戸生まれ。神戸市外国語大学卒。マザースを経て、フリーランスに。

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