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CREATIVE NEWS

今月の展覧会、広告賞、最新ニュース

「鑑賞」から「体感」へと変わる展覧会

魔法の美術館/PARTY そこにいない。展

コミュニケーションのあり方が大きく変わってきているのは自明のこと。広告も、デザインも、アートも人々に「鑑賞」してもらうだけではなく、「体験」あるいは「体感」してもらうことが重視されつつある。

9月6日から上野の森美術館で開催される「魔法の美術館」は、まさに「見る・触る・参加する」展覧会。国内外で活躍する日本人アーティスト11組が光をモチーフに、想像力豊かでインタラクティブ性を重視した作品19 点を展示する。参加アーティストはアトリエオモヤ、緒方壽人、五十嵐健夫、児玉幸子、小松宏誠、パーフェクトロン、プラプラックス(近森基/久納鏡子/筧康明/小原藍)、細谷宏昌、松村誠一郎、真鍋大度/比嘉了、宮本和奈、森脇裕之。

9月4日からギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催されるのは「PARTY そこにいない。展」。インターネットの進化によりネットワーク化、グローバル化した社会に対応した数々のプロジェクトを手がけ、話題をつくってきたクリエイティブ・ラボ PARTY。本展では従来のプロジェクトではなく、時間と場所の制約から自由になれるというネットワーク化社会の本質をつく作品を発表する。ギャラリーは鑑賞するのではなく、インタラクティブに体験できる空間となる。9月5日には伊藤直樹、清水幹太、中村洋基、川村真司というPARTY メンバーにゲストを迎えてのトークも開催される(要予約)。

01 プラプラックス(近森基/久納鏡子/筧康明/小原藍) 《Kage'sNest》 ©plaplax
02 真鍋大度/比嘉了 《happy halloween!》 ©daito MANABE/ satoru HIGA
03 児玉幸子 《そらだま》 ©sachiko KODAMA,2012 協力:藤本彬/小池・佐藤研/ UEC

光のイリュージョン『魔法の美術館』~Art in Wonderland~
9月6日~10月6日 上野の森美術館 10時~17時(入場は閉館の30分前まで)会期中無休 一般・大学生:1200円、小・中・高校生:600円 お問い合わせ→03-3833-4191 上野の森美術館

04 Google Chrome Experiment「World Wide Maze」
05 「OMOTE 3D SHASHIN KAN」
06 PARTY そこにいない。展ビジュアル

PARTY そこにいない。展
9月4日~28日 ギンザ・グラフィック・ギャラリー 11時~19時(土曜日は18時まで)日曜・祝日休館 お問い合わせ→03-3571-5206 ギンザ・グラフィック・ギャラリー

交通広告グランプリはカロリーメイト 「とどけ、熱量。」

交通広告グランプリ 2013

01 大塚製薬 カロリーメイト「とどけ、熱量。」

02 JRグループ『山陰デスティネーションキャンペーン』
03 ダイビル『ビルはビルでもダイビルです。』
04 レコチョク『レコチョクBEST「思い出が再生する。キャンペーン」』

ジェイアール東日本企画が主催する「交通広告グランプリ 2013」の受賞作品が発表となった。

同賞は、2012年4月から13年3月の間に「JR 東日本」「つくばエクスプレス」「ゆりかもめ」「りんかい線」「JR 貨物」の車両および駅のメディアに掲出された交通広告作品を対象とした広告賞。審査対象作品数 1660点から最高賞であるグランプリに選ばれたのは、大塚製薬カロリーメイトの駅ポスター「とどけ、熱量。」である。そのほか、最優秀部門賞5点、優秀作品賞25点、JR 東日本賞1 点の計32点が選出された。

審査委員長の仲畑貴志さんは「交通広告はメディアの異種混合ではなく、そのカテゴリー単体でミックスが成立するバラエティ豊かなメディア」と評し、本年も多彩な表現の受賞作が選ばれたとコメント。そして、これからの交通広告の可能性として、特に配信型動画メディアに大きな期待を寄せた。

また25周年を迎えた今年、同賞は新しいトロフィーを制作した。審査員でもあるアートディレクター 副田高行さんによるデザインは、1914年の創建当時の東京駅がモチーフ。昨年復原が済み、その一番の注目部分であったドームをモチーフに制作された。

05 ライオン「ナノレベルの白さへ」キャンペーン
06 国立新美術館「具体」展

07 トヨタマーケティングジャパン『ReBORN CROWN』
08 副田高行さんがデザインした東京駅をモチーフとした新しいトロフィー。
09 本年度の受賞作を収めた作品集(非売品)

さまざまな角度から見る舞台芸術

KYOTO EXPERIMENT 2013

劇場や元・学校、広場など京都の複数会場を舞台にした国際舞台芸術フェスティバル『KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2013』が開催される。

01 チェルフィッチュ photo: Kamel Moussa
02 池田亮司 photo: Daniel Karl Fidelis Fuchs

今年で4回目を迎える同フェスティバルは、日本国内のみならず、ブラジル、フランス、イギリス、ドイツ、アルゼンチンから10 の公式プログラムが上演される。

また、国内のアーティストを紹介する場としての「フリンジ企画」は今年から「けのび」の演出家・羽鳥嘉郎さんの企画立案による「使えるプログラム」と「オープンエントリー作品」の2本立てで実施される。

「使えるプログラム」では、上演以外にワークショップも開催するなど、さまざまな角度から舞台芸術を楽しむ機会を提供する。

KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2013
9月28日~10月27日 会場:京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座(京都造形芸術大学内)、元・立誠小学校、京都府立府民ホールアルティ、Gallery PARC、京都市役所前広場ほか。お問い合わせ→075-213-5839 (平日 11時~19時)KYOTO EXPERIMENT事務局

美しい本が生まれる瞬間

世界一美しい本を作る男

ドイツのゲッティンゲンにある小さな出版社シュタイデル。そこは「世界一美しい本を作る」と称され、ノーベル賞受賞作家ギュンター・グラス、写真家 ロバート・フランク、シャネルのデザイナー カール・ラガーフェルドらに支持されている。そして世界中には、ここで作られた本をコレクションする人たちがいる――。そんなシュタイデル社の秘密に迫ったドキュメンタリー映画「世界一美しい本を作る男―シュタイデルとの旅」が、9月21日よりシアターイメージフォーラムほかで公開される。

01 「世界一美しい本を作る男―シュタイデルとの旅―」
 
9月21日 シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
監督:ゲレオン・ヴェツェル&ヨルグ・アドルフ、出演:マーティン・パー、ジョエル・スタンフェルド、ロバート・フランク、エド・ルシェ、カール・ラガーフェルド、ハーリド・ビン・ハマド・ビン・アル=サー二、ギュンター・グラス、ロバート・アダムス、ジェフ・ウォール、ジューン・リーフ

シュタイデル社は、1968年にゲルハルト・シュタイデルによって印刷所とともに創設。同社は書籍の編集から、ディレクション、レイアウト、印刷、製本、出版までをすべて自社で行い、近年は主に写真集などアートブックを多く扱う。創業者であるシュタイデルはニューヨーク、ロサンゼルス、パリ、カタール...と、アーティストたちのアトリエへ自ら足を運び、打ち合わせをする。本編は1年にわたりシュタイデルに密着。収録作品や使用する紙、インクの選定までにこだわり、本が「アート」へと"昇華" していく様子、そしてシュタイデルの妥協なき本作りの姿勢をとらえている。

監督は、「エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン」のゲレオン・ヴェツェルとヨルグ・アドルフ。

自由な発想と技術から生まれた紙のゲーム

PAPER GAME CENTER

01 6人のデザイナーによる紙のゲーム。 Photo:Ryoukan Abe

PAPER GAME CENTER
紙のゲームからはじまるコミュニケーション展
9月4日~16日 †渋谷ヒカリエ 8F 「8/ CUBE1,2,3」11時~20時
お問い合わせ→042-526-9215 かみの工作所/福永紙工

紙を加工・印刷してできる道具の可能性を追求するプロジェクト「かみの工作所」。デザイナーの自由な発想と、紙の印刷加工会社ならではの技術を融合させ、これまでにさまざまな作品や製品を生み出してきた。

そんな「かみの工作所」が今年、新たにつくり出したのは、人々のコミュニケーションを促進する「紙のゲーム」。

この試みに挑んだのは、エマニュエル・ムホー、スイッチデザイン、大日本タイポ組合、トラフ建築設計事務所、三星安澄、山中俊治。6組のデザイナーが紙を加工、印刷するからこそできる表現と機能を考え、紙ならではの楽しさを追求しながら、工場とともに新しい「紙のゲーム」をつくりだした。これらのゲームを楽しみたい人は、9月4日から開催される「PAPER GAME CENTER」へぜひ足を運んでみてほしい。

デザイン活動の糧

柳宗理の見てきたもの

01 スリップウエア角皿 英国 18世紀後半-19世紀前半 横34.5㎝
02 毛織絞衣裳 チベット 19-20世紀 縦126.0㎝
03 カチナ人形 2種 ホピ族またはズニ族 アメリカ先住民 19世紀後半 -20世紀 高24.0cm

世界的な工業デザイナーとして活躍した柳宗理は、日本民藝館の館長を30年近く務めていた。館長時代には「民藝館と現代社会を結びつけること」や「民藝の美をどのように現代に蘇らせるか」を自らの使命とし、展覧会の企画やディスプレイ、ポスターや雑誌『民藝』などの仕事、そして自らの眼に適った品物を蒐集し民藝館のコレクションに加えていったという。

柳宗理が蒐集した日本民藝館コレクションの逸品をはじめ、柳家から遺贈された宗理愛蔵の品々を展示する「柳宗理の見てきたもの」が開催中。柳宗理がどのようなものを見つめながら生活し、デザイン活動の糧としてきたのかを見ることができる。

柳宗理の見てきたもの
開催中、11月21日まで。日本民藝館 本館大展示室、玄関、本館1階第3室、本館2 階第3室他 10時~17時(入館は16時30分まで)月曜休館(祝日の場合は開館し、 翌日休館)一般:1000円、大高生:500円、中小生:200円 お問い合わせ→03-3467-4527 日本民藝館

平和を祈念するポスター 葛西薫さんが制作

ヒロシマ・アピールズ2013

日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)は、広島国際文化財団と共同で国内外に向けて平和を呼びかけるキャンペーン「ヒロシマ・アピールズ」を実施している。

01 葛西薫「夏の陽のまぶしさ」

この取り組みは1983年にスタート。第1回作品として、当時JAGDA 会長の故・亀倉雄策さんによる「燃え落ちる蝶」を発表した。以後、89年まで毎年会員代表1名が「ヒロシマの心」を言葉を超えて訴えるポスター「ヒロシマ・アピールズ」をボランティアで制作し、国内外に向けて平和を希求する活動を行ってきた。

戦後60周年を迎えた2005年、広島の被爆60周年を機に活動を再開。そしてシリーズ16作目となる、2013年版のポスターを葛西薫さんが制作した。タイトルは「夏の陽のまぶしさ」。

完成したポスターは、「ヒロシマ平和ポスター展」などでの展示、第8 回平和市長会議総会(8月3日~6日/広島国際会議場)に参加する世界各都市の市長に贈呈されたほか、広島県医師会、広島県、平和団体、教育機関等に配布された。

なおポスターは一般にも販売しており、B1サイズで価格は1枚1,050円(税込)。

広島平和記念資料館(原爆資料館)ミュージアムショップ、広島市現代美術館 ミュージアムショップ、MARUZEN(広島店)、廣文館(金座街本店、シャレオブックガーデン店)、ピカソ画房(堀川町本店)、JAGDA ONLINE SHOP にて販売されている。

ヒロシマ・アピールズ 2013
お問い合わせ→03-5770-7509 日本グラフィックデザイナー協会 事務局

沖縄クリエイターによる広告賞

ocy 賞

01 「おいで おいで 森へ。」玉榮昭彦(ブレーン沖縄)
02 「ANA 沖縄」新垣幹夫(エマエンタープライズ)

沖縄の広告クリエイティブの向上を目的に活動するocy(Okinawa Creators Yui・沖縄クリエイターズ結)による「第7回ocy 賞」が那覇市内の沖縄そば屋「しむじょう」で行われ、応募47 作品の中から、玉榮昭彦さんの「おいで おいで 森へ。」がグランプリに選出された。ゲスト審査員のキギの2人が選んだのは、新垣幹夫さんの「ANA 沖縄」。各受賞作品は以下の通りとなった。本年度の全応募作品と制作意図はocy 賞のサイトで見ることができる。

受賞リスト

●グランプリ

「おいで おいで 森へ。」玉榮昭彦(ブレーン沖縄)(01)

●キギ賞

「ANA 沖縄」新垣幹夫(エマエンタープライズ)(02)

●CM部門金賞 ※同票で金賞2作品

「島に愛を、車に夢を。ストーリー篇」藤井浩輔(電通沖縄)
「ファミマの部屋」『クリスマスケーキ』『おでん篇』『パスタ篇』
新垣幹夫(エマエンタープライズ)、福永周平(フリーランス)

●デザイン部門

金賞:「おいで おいで 森へ。」玉榮昭彦(ブレーン沖縄)(01)
銀賞:「レターフロム アリビラ」藤井浩輔(電通沖縄)

●コピー部門

金賞:「はじまった日、はじまりの日。」仲本博之(沖縄広告)
銀賞:「ホンダの軽シリーズ『最強のヒーロー』篇」
福永周平(フリーランス)、藤田七星(宣伝)

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