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「SoftBank Ads Platform」誕生の舞台裏―アドテク業界の両雄がソフトバンクとタッグを組んだ理由

ソフトバンク

通信キャリアのソフトバンクは2012年から020やマーケティングオートメーションのツールを提供するなどし、デジタルマーケティングの支援事業を500社以上に提供している。そのソフトバンクが10月13日から提供を開始した「SoftBank Ads Platform(以下「ソフトバンクアドプラットフォーム」)」開発の舞台裏に迫る。

(左)株式会社ジーニー 代表取締役社長 工藤智昭氏
(中)ソフトバンク株式会社 法人事業開発本部 デジタルマーケティング事業統括部 統括部長 藤平大輔氏
(右)株式会社マイクロアド 代表取締役社長 渡辺健太郎氏

オンラインとオフライン統合 高精度データで広告を配信

―「ソフトバンクアドプラットフォーム」の概要を教えてください。

藤平:「ソフトバンクアドプラットフォーム」は、ソフトバンクとマイクロアド、ジーニーの3社がタッグを組んで開発した、新しい広告配信プラットフォーム。複雑化する企業のマーケティング活動に対応すべく、高精度なターゲティングデータに基づいて、最適な広告配信を実現できる点が強みです。

―開発のきっかけとは何でしょうか。

藤平:DMPの導入が進んでいますが、データを統合・分析しても具体的な打ち手が見えてこないという課題の声を多く聞いていました。その背景にあったのが、データの精度の問題。携帯キャリアとしてソフトバンクが保持するデータを活用することで、高精度なターゲティングデータに基づく、成果につながる広告配信のお手伝いができると考えています。そこで「ソフトバンクアドプラットフォーム」の中心となるのは、新たに構築したソフトバンク独自のDMPです。具体的なマーケティングの打ち手につながることを重視していたので、マイクロアドさん、ジーニーさんと提携。それぞれのDSP、そしてSSP、PMPと国内トッププレーヤーの広告配信機能を連携させ、アドプラットフォームという形で提供をすることになりました。

渡辺:私たちはWEBやアプリなどのインターネット上のオーディエンスデータを大量に保有し、ユーザーのオンライン上の行動は把握していますが、ソフトバンクさんのデータはオフラインの行動まで捕捉できるもの。両者のデータが統合されたら、これまでにない高精度なターゲティングが実現できると期待を抱きました。

藤平:個人を特定しない、本人の許諾を得た上で利用する位置情報の他、020支援事業で蓄積した店舗での行動などオフラインデータはソフトバンクならではの価値だと自負しています。

工藤:近年、商圏を持つ事業を行う企業から、既存の集客ツールの効果が下がっているという課題の声を聞きます。オフラインの行動データも活用した「ソフトバンクアドプラットフォーム」は、こうした課題の解決策も提示できると思います。

渡辺:セキュリティが厳しくなってマンションにポスティングができなくなったので、タワーマンションの住人を対象にオンライン広告を打てないかという相談がありました。オフラインのデータがあることで、これまで対応できなかった課題も解決していけると期待しています。

藤平:1st Partyデータを持つ私たちとDSP、SSPのトッププレーヤーが手を組んだこと自体、以前から理想としていたことなので、これまで世になかった価値を提供できるようになったと考えています。

高精度なターゲティングデータに基づく、成果につながる広告配信を実現する「ソフトバンクアドプラットフォーム」の全体図。

テレビではリーチしない層もターゲティングして配信

―企業のどのようなマーケティング課題を解決できるのでしょうか。

藤平:私たちは企業のデジタルマーケティングを支援すると同時に、マーケティングを実行する事業者でもあります。最近の当社の課題はテレビCMを積極的に投下しても、テレビだけではリーチしない層が確実に存在しているということ。しかし全国を対象に事業を行う、当社のマーケティングは、やはりテレビが中心。そうなるとテレビでリーチできない層を的確なターゲティングで、オンラインの広告で補足することが必要です。「ソフトバンクアドプラットフォーム」の設計は、広告主である自分たちの課題感もベースになっています。こうした背景もあって現在のところ、オンラインでビジネスが完結するわけではない企業からの問い合わせの方が多いです。

渡辺:ナショナルクライアントはもちろん、ダイレクトビジネスを行う企業にとってもメリットが大きいです。近年、オンライン広告の課題は新規顧客開拓が難しくなっているということでした。潜在顧客にアプローチするためには自社が持っているデータだけでは不十分で、「ソフトバンクアドプラットフォーム」は、この課題を解決できるソリューションと言えます。

藤平:認知から刈り取りまで、目的に合わせた活用が可能ですよね。だからこそKPIの設定が重要になるわけですが、ソフトバンクのデジタルマーケティングのコンサルティング部隊、アドテクノロジー活用に精通したマイクロアド、ジーニーの社員の方がタッグを組み、目的に合わせたKPIの設定から支援させていただいています。

さらに広がるデータ群 IoT時代に広がる可能性

―皆さんは、このプラットフォームの未来構想をどのように描いていますか。

藤平:テレビ視聴データの投入、1対1のコミュニケーションを実現する、マーケティングオートメーション「GENERATE Marketing Automation」との連携など、データの高精度化、打ち手の拡充ともに取り組んでいきます。データの部分では当社が今、力を入れているIoTデータも積極的に取り込んでいく予定です。

工藤:あらゆるモノがネット接続してくると、大量にオフラインの行動データが取得できるようになりますから、さらに可能性が広がります。3社のタッグでIoT時代の新しいアドプラットフォーム、さらにはメディアのようなものをつくっていけたらよいですよね。

渡辺:データの取得範囲を可能な限り広げていくと、自分たちでも想像していなかったような活用法が見つかりそうです。

工藤:あと、マイクロアドさんも当社も東南アジアに進出していますが、ゆくゆくは海外展開もできるのではないでしょうか。

藤平:そうですね。アジア進出も見据えていきたいですね。

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