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広告業界トピックス

主権者教育、新聞社の役割大きく-教育現場から期待の声

宮浦 慎

総務省が公表した今夏の参院選(選挙区選)投票率に関する調査結果によると、18歳は51.17%、19歳は39.66%だった。高校などで主権者教育を受ける機会が多い18歳と、大学生や社会人が多い19歳で、大きく投票率に差が出る結果となった。主権者教育への注目は高まっており、高校・大学生による政策提言の試みや模擬投票を実施する学校での解説などに取り組む新聞社が増えている。政治的中立の担保に悩む教育現場からは、第三者の立場から政治を解説できる新聞社の力に期待する声が上がっている。

未来の読者を育てる

沖縄タイムス社は8月21日からの3日間、高校・大学生、若手社会人17人が、記者や若手県議会議員と議論するイベント「夏の政治キャンプ2016」を開催した。参加者は議論の成果を基に、政策提言を請願書にまとめ県議会に提出する。性的少数者を支援する県の専門部署新設、観光客向け路線バスの運行など、全8件の多様な提案内容にまとまった。

社会の課題に対する自分の考えを持ち、多様な見方を知ろうとする姿勢を身につけてほしい。イベントにはそんな願いが込められている。こうした姿勢が身につけば、社会のさまざま課題について多様な視点で伝える媒体である新聞を、将来選んでもらえる可能性が高まるからだ。

熊本県の高校12校が今春、熊本県知事選に合わせて模擬投票を実施した。熊本日日新聞社は学校に出向き、選挙の仕組みや各候補の主張を解説する授業を行い、インタビューなど本紙記事を再構成した模擬投票用の特別紙面を制作した。模擬投票は2776人が投票した。

新聞は若い人にとって遠い存在になってしまっており、新聞社が若者に直接働き掛ける手段も少ない。熊本日日はそうした現状を受け、面と向かって意見交換しようと考えたのだという。学校側は、政治が生活に密着していることを生徒が実感でき、社会への関心が高まったと感じると話す。

社会と学校教育をつなぐ新聞社の役割は高く評価されているが、教育現場が新聞社の力を求める理由は他にもある。

中立性担保に有効

学校での主権者教育は政治的中立性の担保が求められる。西日本新聞社の協力を得て模擬投票を実施した福岡県のある高校教諭は、教員の間で悩みの種になっていると打ち明けている。中立性への配慮を最優先した授業は ...

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