情報過多な世の中で、企業発のメッセージが消費者に伝わりにくくなっている今、人々の消費行動にまで影響を与えることもあるインフルエンサーが、企業の新しいパートナーとして注目されている。そんな時代の流れをいち早く読み解き、Instagrammer×動画という独自のメソッドで、企業のプロモーション支援を行っている3Minute取締役COO細川潤氏に、その可能性と今後について、話を聞いた。
3Minute 取締役COO細川 潤氏
SNS時代が可能にした立体的なブランディング
SNS上で強い発信力を持つ、インフルエンサーを起用したプロモーションが注目を集めている。中でも、20~30代の女性をターゲットにした施策で着実に成果を出しているのが、Instagrammerと動画を掛け合わせた取り組み。その仕掛け役を担うのが、3Minuteだ。
設立は2014年9月。インフルエンサーのマネジメントから動画制作、動画メディアの運用、プロモーション支援までトータルに手掛けており、Instagrammer×動画の施策は、同社が日本で初めて開始した。さらに今年4月には、シンガポールに本社を置くGushclut Pte Ltd.と業務提携し、アジア最大級のインフルエンサープロダクションとして、インバウンド向けマーケティングも開始している。
同様のサービスを提供する競合企業が増えつつある中、飛躍と成長を見せる3Minute。その快進撃の背景にあるのが、「Instagrammer×動画」の構図における独自のメソッドだ。それについて同社の代表取締役COO細川潤氏はこう語る。「企業からのメッセージより、信頼する身近な友人の発言を大事にする人々が増えている今、それと同様に、Instagrammerなどのインフルエンサーが発信する情報は、フォロワーの共感を得やすく、自分ごと化されやすい。そこで我々は、企業が伝えたいメッセージを、影響力のあるインフルエンサーを軸にした動画にのせ、彼らと強く結びついているフォロワーに向けて発信。アテンションを目的としたCMと違い、3分間の動画ではより深く細かな情報まで届けることができるため、ブランドの認知や浸透にまでつなげることができる。これを活用することで、これまでのテレビや雑誌、インターネット広告を補完する、立体的なブランディングが可能です」。
3Minuteは現在、2000人を超えるInstagrammerをネットワーク化している。そこには、国内外のトップクラスのモデルやタレント、人気ブロガーといった、高い知名度とフォロワー数を持つインフルエンサーをはじめ、幅広い表現力と強い発信力で支持を集める、クリエイティブな人材も数多い。そしてそんなネットワークにおける同社の強みが、彼らとの距離だと細川氏はいう。「インフルエンサーとのコミュニケーションを大切に、互いに信頼関係を保っている。これが、仕事の成果につながる一つのカギ」。さらに細川氏は、「今後は、このネットワークを活かし、単に彼らを起用するだけでなく、さまざまなジャンルの複数のインフルエンサーが企画プロデュースする動画制作なども可能になるだろう」と話す。
3Minuteはアジア最大級のインフルエンサープロダクションとして、シンガポール、インドネシア、タイ、台湾、香港、中国などのインフルエンサーを用いたインバウンド向けマーケティング支援体制を強化。加えて、アジアにおいて利用率の高いInstagram以外のSNS(Snapchat、Facebook、Twitter 等)でのプロモーションにより、1億人超のユーザーへのリーチが可能に。
リアル体験こそがフォロワーの共感を生み出す
3Minuteのこれまでの実績の裏には、企業とInstagrammerのマッチングをはじめとした、コーディネートにもポイントがある。その点について細川氏は、次のように語る。「Instagrammer×動画の施策において最も重要なのが、インフルエンサー自身の世界観を尊重した設計。彼らの、演技ではないありのままの表現がフォロワーに共感を呼び、ブランドの共感につながるため、我々は、企業がターゲットに伝えたいことを、インフルエンサーが伝えたいと思う体験に置き換えることに強いこだわりを持っている」。これまでの実績から、ブランドにストーリーがあるとマッチングは成立しやすく、また企業側が、これは人と対峙した施策であるということを十分に理解していると、成果につながりやすいという。また、制作した動画をどこで露出するのかも重要だと細川氏。「我々は、情報を発信する場として、ライフファッション動画マガジンの『MINE』というメディア運営にも力を入れており、6月には、リリース5カ月にしてAppleダウンロードランキング1位を獲得するなど、ユーザー数を伸ばしています。また、それとほぼ時を同じくして、MINE内に設けられたスキンケアブランドのキャンペーンの動画総再生回数が、公開1週間で200万回を突破するなど、着実に相乗効果が現れています」。
このように、Instagrammer×動画によるプロモーション施策は、デジタル時代、SNS時代の今、もはや見逃せないものになりつつある。企業は、ブランドの中長期的なファン形成において、どんな点に着目してこれを活用すべきか、細川氏に聞いた。「Instagrammerをアンバサダー的な存在として位置づけ、年間を通した施策などで、継続的に取り組んでいくことが効果的。それが、さらなるインフルエンサーの醸成やフォロワーの増加にもつながり、企業が目指す本当の目的の達成にもつながる」。今後3Minuteは、同社のボーダレスなネットワークを存分に生かし、ブランドのグローバル展開などにおいてもその力を発揮し、支援していくという。Instagrammer×動画の可能性、そして3Minuteの動向から、今後も目が離せない。
編集協力:3Minute