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ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略

「社員の失恋」が開発のきっかけ、時代に合わせて形を変貌

小林製薬「アンメルツ」

肩こり対処薬「アンメルツ」は、外出時にも使用できる液体薬として誕生し、容器形状にも一石を投じた。50年たった今も塗りやすさを追求し続けている。

(左)1966 (右)2016

ヒット商品生み出す基盤をつくったアンメルツ

1966年に発売が開始された、小林製薬の外用消炎鎮痛薬・アンメルツは今年50周年を迎えた。現在、液体の肩こり薬といえば、多くの容器が首の部分は曲がり、直接肌にあてて塗布できるようになっているが、実は1974年に誕生した、孫の手のように塗ることができる「アンメルツヨコヨコ」こそが、その形状の先鋭的商品だ。

開発するきっかけとなったのは、とある男性社員の失恋であった。肩こりに貼り薬を貼ったままデートに行き、女性から「臭い」「カッコ悪い」と言われ、フラれてしまったのである。当時の肩こりには貼り薬が一般的。薬品臭も強く、洋服の下に貼っていてもすぐに気づかれてしまうようなものだった。そこで男性社員は、新商品のコンセプトを「見えない肩こり薬」と設定し、液体を軸にした開発をスタートしたのだ。

66年に発売を開始すると、効果感や利便性の高さから、大きな支持を獲得し、67年には全国に展開。瞬く間に主力商品へと成長していった。その背景には、新聞やテレビの広告はもとより、店頭をまわってのPOPによる売場づくり、電話の受け答えは職種に関係なく、すべて「はい、アンメルツの小林製薬です」に徹底するなど、全社の総力を挙げたキャンペーンにもあった。この成功体験はその後のヒット商品を生み出す基盤となっているという。

しかし、液体の肩こり薬が販売された当初は、ハケに薬液を浸して塗るタイプが主で、塗りにくいのが課題であった。アンメルツを担当するブランドマネージャーの中山祐哉氏は、「開発当時は、もっと簡単に使えるようにできないものかと、容器の口にスポンジを切ってはめこんだり、いくつも試作品をつくり、相当苦労したようです」と振り返る。試行錯誤の結果、肩にピタリとあてるとジュワッと薬液がにじみ出る「ラバーキャップ」が誕生した。

69年以降は海外にも進出し …

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