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スタートアップ座談会

大手にはない思考スピード―「スタートアップ座談会」前篇

デジタルテクノロジーを活用し、従来の日本企業が想定する以上のスピードで急成長を遂げるスタートアップ企業。工場など固定した資産を持たず、市場環境やユーザーのニ-ズに素早く対応した展開が強みの一方、競合他社との絶え間のない戦いもあり、常にスピードが求められる。古くからの資産があり、なかなか身軽にデジタルシフトを遂げられない従来企業とは、異なるマーケティング思考があるのではないか。座談会を通じて考える。

大企業や異業種企業からスタートアップに移った理由

─はじめに、それぞれ会社のご紹介とご自身のキャリア、なぜスタートアップ企業に入ろうとお考えになったのか、お聞かせください。

宮下▶ 私たちLoco Partnersは、一流旅館・ホテルを厳選した会員制宿泊予約サイト「relux(リラックス)」を展開しています。全国の旅館・ホテルに精通した審査委員会のメンバーが、オススメする一流旅館・ホテルのみを厳選、紹介することで、会員の方に快適で満足のいく旅を提供します。私は執行役員として、マーケティングに関わる部門とプロダクトの開発部門を統轄しています。それまでは、新卒で2007年にリクルートに入社し、新規事業立ち上げを中心に従事。Web系のメディアのプロデュース職を務め、2013年にはEコマースのサービス「ポンパレモール」の立ち上げに責任者として参画しました。しかし大企業で管理職になると、現場やプロダクトから離れていく傾向があったので、より事業の現場、プロダクトに近い場でキャリアを築きたいと考えるようになりました。そんな時、リクルートの同期入社であった当社代表(篠塚孝哉)と縁があり、入社を決めました。彼の起業した仕事内容は以前から知っていて、私自身もreluxを利用し、サービスのファンになっていたことも入社を決めた大きな理由です。それに東京オリンピックをひかえ、注目の集まる旅行観光業界で何か勝負したいという気持ちもありました。

西澤▶ ChatWorkは、社名であり、事業のサービスツールの名称でもあります。チャットワークは、業務の効率化と会社の成長を目的とした、メール・電話・会議に代わるコミュニケーションツールです。複数人が参加するグループチャットでコミュニケーションがとれ、タスク管理、ファイル共有、ビデオ通話も可能です。現在、導入企業は9万7000社を突破しました。私はマーケティング部で、アライアンス業務を中心に市場調査や戦略立案などを担当しています。これまでのキャリアは、FAメーカーでのコンサルティングセールス職を経て、音楽業界に移り、マネジメントやプロモーション、新人アーティストの発掘などを担当していました。ChatWorkを選んだのは、チャットワークというサービスで、自らを含めたすべての働き方に変革をもたらし、それを通じて世の中に大きな影響を与えようとしているさまに魅力を感じたためです。

林▶ マネーフォワードでは、自動家計簿・資産管理ツール「Money Forward」と、中小企業向けクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」を運営しています。今年5月で創業4周年を迎え、「Money Forward」はユーザー数350万、「MFクラウドシリーズ」はユーザー数50万以上を獲得しています。「MFクラウドシリーズ」では、会計、確定申告、請求書、給与、マイナンバー管理、経費精算などが可能で、私はMFクラウド本部のマーケティングを統轄しています。私は、新卒でアクセンチュアに入り4年、その後グリーに転職して2年働き、今の会社に移りました。マネーフォワードに入ったのは、さまざまな理由がありますが、中でも大きい要因となったひとつに、社長に魅力を感じたということがあります。スタートアップ企業のカルチャーというのは、社長や経営陣がつくり出すところが大きいと思います。なので、この人だったら付いていけると思える人がトップであることは、重要なことです。

河野▶ 同じくMFクラウド本部で「MFクラウドシリーズ」のマーケティングを担当し、複数のプロダクトを横断的に見ています。登録していただいたユーザーに継続利用してもらうこと、継続ユーザーに有料機能をご利用いただくこと、これらを目標として施策を立案・実施・分析して、PDCAをまわしています。私は新卒でWebの制作会社で3年、グリーで3年半働き、その後マネーフォワードに転職して1年半ほどになります。私がグリーに入社した当時は、会社が急成長している最中で、ベンチャーならではのスピード感を肌で感じていました。グリーを退社し、次のキャリアを考えたとき、成長しているベンチャー企業の中でもマネーフォワードが最もスピード感があり私自身成長できると思い、入社しました。

マネーフォワードでは、自動家計簿・資産管理ツール「Money Forward」と、中小企業向けクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」を運営。

マーケティングの方向性とビジョン、コンセプト

─皆さんの企業のマーケティング戦略の方針やコンセプト、ビジョンなどをお教えいただけますか。

林▶ マネーフォワードのビジョンは…

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来たる踊り場にどう対応?―「スタートアップ座談会」後篇
大手にはない思考スピード―「スタートアップ座談会」前篇(この記事です)

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