不祥事への注文相次ぐ
NHKの2016年度予算が3月31日、参議院本会議で可決、承認された。賛成多数だったものの、NHKや関連団体で不祥事が相次いだことから民進、共産、社民などの野党各党が反対。籾井会長の就任以降3年連続で通例の全会一致とはならず、異例の事態となった。一方、4月12日にはNHK理事8人のうち、半数が退任する人事案が発表された。今年2月の2理事の退任を合わせると、8人のうち6人が交代する。
国会での2016年度の予算審議では、NHK子会社アイテック社員による着服問題や、記者のタクシー券私的利用の問題など相次ぐ不祥事が取り上げられた。また、昨年12月に発覚した関連団体による350億円の用地取得問題に関しても、すでに撤回されたが、その手続きが問題視された。
予算の承認にあたり、衆院総務委は12項目、参院総務委は16項目の付帯決議を採択。NHKに対し、(1)国民・視聴者の信頼回復に向けたコンプライアンスの徹底、綱紀粛正 (2)受信料制度への理解促進と受信料支払率の一層の向上、などを求めた。その一方、政府に対しては、番組編集について、放送事業者の自主・自律を尊重するよう求めた。予算承認は野党が反対した一方、付帯決議は全会一致となった。
収入は初の7000億円超
2016年度のNHK予算の内訳をみると、事業収入は2015年度予算比185億円(2.7 %) 増の7016億円と初めて7000億円を超えた。事業収入のうち、受信料収入は150億円(2.5%)増の6758億円を見込む。籾井会長の発言問題や、不祥事が相次いだにもかかわらず、受信料の支払率は78%、衛星契約50%を目指すとしている。
一方、事業支出は同167億円(2.5%)増の6936億円。事業支出の内訳は、国内放送費が162億円増の3210億円。重点項目に「正確な報道」「豊かで多彩なコンテンツ」を掲げ、リオデジャネイロ五輪、参院選等に注力するとしている。
リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックには総額46.7億円(オリンピック34.2億円、パラリンピック7.4億円、デジタル展開5.0億円)を計上。番組の質・量ともに充実させ、特にパラリンピックの放送を大幅に拡充するとしている。また ...