グローバル企業では、デジタル時代の消費者のライフスタイルやメディア接触行動に合わせた取り組みをいち早く推進している。コスメティクス、ジュエリー、ファッションの3業界の、デジタル先進企業の取り組みに迫る。
CDOの設置は企業としての意思表示
CDO(Chief Digital Officer:チーフ・デジタル・オフィサー)――日本では、耳にする機会が少ないが、市場環境が急速に変化し、競争が激化する中、ブランドが消費者に選ばれる存在であり続けるためのカギを握る人材として、注目を集めている。一言で言えば、組織全体のデジタル戦略を統括し、必要な改革を部門横断で推進できる人材であり、CEOの右腕となる経営幹部。昨年10月、日本ロレアルが同社で初めて設置したこのポストに着任したのが、元Instagram日本事業責任者の長瀬次英氏だ。
「日本では、CDOを置いている企業自体がまだそう多くない中、デジタル時代への対応に向けた日本ロレアルの動きは、業界的にも産業界全体としても早いと言えます」と長瀬氏。注目すべきは、メディア部門をCDOの直轄部門として位置づけていることだ図表1。テレビや雑誌といったマスメディアと、デジタルメディアの両方を長瀬氏が管轄している。「この体制をとることは、『デジタル化を推進していく』という会社としての意思表明でもあります。日本がロレアルにとって重要な市場であることはもちろん、それだけデジタル化する価値のある市場であることを意味しているのです。デジタルやモバイルを中心に経済が動いている日本では …
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