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注目トレンド 2016

NTTドコモ・日産自動車の宣伝トップが語る「2016年に宣伝部門が担うべき役割と機能」

NTTドコモ 青谷宣孝×日産自動車 横溝惠子

クルマ離れによる市場規模の縮小という課題に対峙する日産自動車と、スマートフォンが生活インフラと化し、新たな戦略が求められているNTTドコモ。課題が両極にあるとも言える2社に、2016年の宣伝部門のあり方を聞いた。

左)NTTドコモ プロモーション部長 青谷宣孝 氏
右)日産自動車 総合メディア宣伝部 担当部長 横溝惠子 氏

共通する課題はブランド力

―自己紹介をお願いします。

青谷:1987年にNTTに入社後、グループ会社も含めて宣伝関連の部門に携わってきました。2014年7月からプロモーション部長になり、いわゆる宣伝部の機能と、全国のドコモショップで展開する販促など、コミュニケーション全般を見ています。

横溝:広告会社に勤務した後、2004年に日産自動車に入社し、購買部を経て、現在は宣伝部に在籍しています。総合メディア宣伝部では、主にメディアプランニング・バイイング、テレビCMやチラシ・カタログ制作、モーターショーなどイベントの実施をしています。デジタル関連の施策などは販売促進部が担う体制です。

―現在の企業の宣伝部の課題をどのように捉えていますか。

横溝:マスメディアに広告を出せばモノが売れるという時代は終わり、各部門が連携しなければ、大きな宣伝効果を生み出せなくなっています。そのため、当社においても、マス広告とデジタルコミュニケーションの業務は本来、統合すべきだと考えています。コミュニケーションの戦略を練る段階から、宣伝部が社内のイニシアチブをとり、さまざまな部署を巻き込むことが重要です。当社では戦略の議論のために、定期的に各部長を集めて会議を開くようになりました。

青谷:これだけ情報があふれている時代において、そもそも消費者とのコミュニケーション自体が難しくなっています。携帯電話は、いまや一人で一台以上持つ時代です。iPhoneをはじめとするプロダクトはもちろん、サービスや料金体系は、ほとんどの面で大手3社横並びの状況で、完全にコモディティ化していると言えます。こうした状況下で、いかにドコモを選んでいただけるかというコミュニケーションを仕掛けていくことが、当面の課題です。

横溝:ここ数年、国内の自動車市場は飽和状態にあり、そこに税制度が変わったことも相まって、販売台数が伸び悩んでいます。なかでも当社が最も大きな課題だと認識しているのが、ブランド力です。顧客のなかに“日産の顔”ができあがっていない。これまでも日産自動車としてのブランドをつくるために、多様な方策を打ってきましたが、さまざまな車種があるなかでアプローチがバラバラだったことも事実です。ブランドをつくり、育てていくには、対外的なコミュニケーションや広報だけでなく、社員教育やモチベーションマネジメントなどのインターナルコミュニケーションを含め、あらゆる面で部署間の連携を強化する必要性があると感じています。

青谷:当社としても、ブランド力の強化は大きな課題です。2015年の組織改編に伴い、これまで他部門にあった公式ホームページとブランド管理に関わる業務をプロモーション部に集約しました。これは、プロモーション部がブランド全体のマネジメントを担うことで、一つの商品やサービスの訴求だけでなく、ドコモの企業ブランドの価値を底上げすることが狙いです。どんなタッチポイントでも同じブランド体験をしてもらえるように、各部門・部署と横断的な連携を図っています。

新たな付加価値をどう生み出すか

―消費者を取り巻く情報環境が変化するなか、2015年には、どのようなコミュニケーションを意識されていましたか。

横溝:コミュニケーションによってブランドをつくることを意識していました。2015年8月より、矢沢永吉さんを起用した新しいコミュニケーションを展開しています。そこに至るまでに1年ほど議論を重ね、当社はどんな会社なのか、何を誇るべきかを徹底的に掘り起こした結果、行き着いたのは技術力でした。これまでもこれからも、日産の技術がお客さまにワクワク感を提供し、それによってお客さまの豊かな人生に貢献していく。常に新しい技術を追求し、先陣を切って進む力が日産にはある、ということがブランドのアイデンティティだという認識に至ったんです。これをコミュニケーションの骨子として、テレビCM第1弾の「宣言 矢沢」篇では、矢沢さんが「“やっちゃえ”NISSAN」と、当社に対してエールを送ってくださるストーリーにしました。

日産自動車では、「技術の日産が、人生を面白くする。」をスローガンに掲げ、2015年夏よりコミュニケーションを一新。「宣言 矢沢」篇をはじめ、新たなテレビCMが好評を博している。

青谷:当社がコミュニケーションで最も意識したのは、いかに自分事化してもらえるかということです。携帯電話の一般的な契約プランは、2年間をベースに設定されており、2年ごとに新しい機種に買い替えるという人が多い。そうすると ...

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